数年前から、私のお客にはなぜかイスラム人経営者が多いです。
なので私のところに、イスラム圏の経済や文化に関する情報が多く入ってきます。
余談ですが、以前
ラマダン(断食)にも付き合わされたことがあります(笑
現在、中東イスラム圏では原油高で潤うオイルマネーがジャブジャブ溢れていますが、
そんなイスラムマネーに世界中の機関投資家や大企業が注目しています。
中国の国営企業がマレーシア市場で、今年の11月に初のスクーク(イスラム債)を発行すると、
起債を手がけるイスラム金融大手
クウェート・ファイナンス・ハウスが発表しました。
企業名などの詳細は伏せられていますが、
発電所の建設費用を調達するためイスラム圏の投資家から
2億〜2億5000万ドルを調達する計画だそうです。
いくら詳細を伏せられていても、
「中国の国営企業で発電所建設」このキーワードだけである程度の
絞込みはできてしまいますが、さてどこの会社でしょうか?これでピンと来た方はかなりの中国株通!
スクーク(イスラム債)は、株式(EQUITY)ではなく債券(DEBT)です。
なので、
投資先が事業で儲かった分の配当とキャピタルゲインを期待するもの(EQUITY)ではなく、
本来、
額面利回りをあらかじめ決めて、その利子を払う約束をしたもの(DEBT)のはずなのですが、
イスラム教の聖典コーランによると、金融取引に関しては利子の受け払いを禁止しています。
そんな宗教的理由から、
スクーク(イスラム債)は債券であっても、調達資金による投資で得られた
収益を、その収益額に応じて投資家に分配するという、株式のような性質を持っています。
その調達資金は、例えば豚肉加工・販売など、イスラム教の教義に反する取引とかかわりのない、
不動産事業やシステム事業などに投資されることが大前提となります。
現在、ペルシャ湾沿岸部では、周辺地域の土地や建物を債券化した不動産投資が活発で、
イスラム金融の総資産は4500億ドルを突破したとのことです。
今は原油相場が調整局面にありますが、過去3年間に中東産油国に流入した資金は、
すでに7000億ドルを超えており、その
膨張した余剰マネーの受け皿として、世界の機関投資家が
注目をしているのが、このスクーク(イスラム債)ということです。
→関連記事「UAE、カタール、バーレーンに相次ぎ国際金融センター建設」
スクーク(イスラム債)の起債に関して強いのは、やはりここでもHSBCやシティです。
欧米では、
HSBCや
シティバンクがこのスクーク(イスラム債)に関しては圧倒的に先行しており、
専門家を使って、スクーク(イスラム債)起債に関する数多くのノウハウを蓄積しています。
HSBCやシティバンクに追随するかたちで、
中国人民銀行(中国の中央銀行)も参入してきました。
ちなみにインドのリテールでも、やはり強いのはHSBCやシティです。
→関連記事「欧米の主力銀行、インドでの業務35%増収」
ロンドンは欧米の中でイスラム金融を手がける銀行がもっとも多く、
ロイズTSB銀行などは
英国全土の2000店舗でイスラム金融商品の販売に着手し、HSBCを追撃しています。
仏教国のタイでは、現在
イスラム株価指数の開発構想が浮上しています。
アルコールや豚肉、賭博などに関連性のある銘柄を指数から外し、イスラム教徒の個人投資資金を
タイの株式市場に呼び込もうという思惑です。
実は、日本勢もイスラム金融に参戦しそうな雰囲気です。
国際協力銀行はマレーシア市場において、スクークの発行を準備中。
サウジアラビアの法学者と契約して、イスラム金融の研究に着手しました。
世界のイスラム教徒の人口は、現時点では10億人を超えています。
言い換えれば、
地球に住む人間の約6人に1人がイスラム教徒であるということです。また5大陸全部において、
数多くの信徒を有しており、
イスラム教徒の3分の2がアジアに暮らしています。
しかも
パキスタンや
バングラデシュをはじめとして、イスラム圏の人口は急速に増え続けています。
インドや中国をも押しつぶさんばかりの勢いでイスラム教徒人口が増え続けています。
今後世界各国への分散投資を語る上で、イスラム教徒の動向抜きには考えられないでしょう。
→関連記事「インドの若年労働者層が世界を揺るがす?!」
海外投資は、実際に現地へ飛んで生の情報を得て、空気を肌で感じて、その国全体を体で感じる事ほど
これ以上有益な情報はほかにはありません。一番信頼できるのがそこから得られる自分の勘です。
11月にはイスラム圏のマネーが集まる
UAE(アラブ首長国連邦)へ視察に行く予定を立てています。
そのときに何か大きなものを感じて、みなさんにフィードバックできたらと思います。
Posted by causeway_bay at 12:35│
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