香港資産運用奮闘記不動産 > 未開発の土地に投資するカナダのランドバンキング(Land Banking)
2006年12月05日

未開発の土地に投資するカナダのランドバンキング(Land Banking)

ランドバンキング(Land Banking)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
分散投資のひとつとして、株価や為替、商品市況などの影響を受けにくい投資先が
ここ最近注目を集めていますが、ランドバンキングもそのひとつです。
→関連記事「年4.0%の確定配当付き、生命保険に投資する投資信託(米ドル建てオープン型)」

ランドバンキング(Land Banking)とは

将来的に開発需要のある未開発の土地を買収して所有し、そこから利益をあげていくという資産運用です。

保有している土地が、デベロッパーによる住宅やホテルの開発に着手されると、値上がりが期待できます。
このようなランドバンキングで成功した人物は、ロックフェラー、ウォルトディズニー、李嘉誠、森ビル一族など・・・。

ランドバンキングに投資するタイミングとしては、株などと同様に、言うまでも無く価格が割安の時が最適です。
近い将来大きな開発需要が見込める余地があり、今後大きく上昇するだろうという土地に、
まだ未開発(何も無い更地状態)の段階で投資するのです。何も無い更地を買うわけですからとにかく安い。

ランドバンキングは、通常数段階のステップを踏んで、土地の価値を高めていきます。
そして、それぞれの段階に応じて、新たな価値が積み木のように積み上げられていくというものです。

以下の図がランドバンキングのイメージです。プロジェクトによりますが、ステップ1〜5まで通常5〜10年程度要します。
おおまかに、以下のような五段階のステップを踏んで、価値を高めていくプロセスが一般的のようです。

ランドバンキングの仕組み















ランドバンキングと不動産投資の違い

基本的に「未開発の土地に投資する」わけですから、通常の不動産投資と違ってメンテナンス不要です。
土地の上に建つ「建物の権利」は持たないので、維持費もかかりませんし家賃収入ももちろんありません。

しかし、れっきとした土地所有者になるわけですから、土地の権利書も手にすることができ、ちょっとした
土地のオーナー気分を味わえます(笑)でももちろん、そこに自分の家を建てることはできません。

そして最近は、大きな土地を小口で販売するケースが多いので、比較的少額から(USD10000程度)
購入可能で、かつ小区画単位での売却も可能ですので、投資信託に似ている一面もあります。
分類としては投資信託ではありませんが、ニュアンス的に投資信託に近い感じです。

じゃぁ、「ランドバンキングってREIT(不動産投資信託)と同じなの?」というと、それもまた異なります。


ランドバンキングとREIT(不動産投資信託)の違い

REIT(不動産投資信託)は、
→開発した不動産から生み出す収益(主に家賃収入:インカムゲイン)が利益の源泉になる


それに対して、

ランドバンキングは、
→土地の開発までの期間に生み出す収益(主に値上がり益:キャピタルゲイン)が利益の源泉になる


・・・と、二者は収益構造に大きな違いがあります。整理すると↓こんな感じのマトリクスでしょうか。。。
開発の上流工程は、言い換えると「土地の価値重視」、下流工程は「建物の価値重視」と考えていいと思います。
(注意!勝手な独自の解釈でのマトリクスなので、ご了承願います・笑)

「ランドバンキング+不動産投資+REIT」のマトリクス



















カナダのオンタリオ州ランドバンキング

このような未開発大型用地を買収して、将来の値上がり益を期待する投資物件ですから、
小さな国や、土地の不足している国、土地が国有物とされている国などは組成できません。

かつ、将来の開発需要を見込める土地ですから、GDP成長率や国の財政、貿易収支、人口増加率、失業率・・・
など、様々な経済的要素を勘案した上で、ランドバンキング会社は土地買収を実行していくのです



Ontario CANADAカナダのオンタリオ州という場所があります。

ここはカナダの東側に位置し、様々な産業が集積し、
アメリカ・カナダ国境の五大湖に隣接しています。


オンタリオ州は、アメリカの、ニューヨーク州、
ペンシルバニア州、オハイオ州、ミシガン州、
ウィスコンシン州、ミネソタ州などに隣接し、

その面積は、フランス、スペインなどの国が一国
すっぽりとおさまる大きさで、カナダで二番目に
大きな面積を持つ行政区です。



経済面に関して言うと、ここオンタリオ州には、トロントというカナダNo1の都市が存在しており、
アメリカ・メキシコも含めた北米大陸では、五本の指に入るほどの大都市です。

トロントからナイアガラの滝までは車で2時間弱、湖沿いの地域は特に美しい景観で観光資源にも恵まれています。
そして、治安がいいこと、カナダの経済、文化、学術等の中心地であることがこの町の人たちの誇りだそうです。
ここ1〜2年は王立博物館の大改修や新オペラ座の建設等、さらに大プロジェクトが続いています。


トロントを中心とした広域区は、GTA(トロント広域圏:Greater Toronto Area)と呼ばれており、
最大の消費市場であるアメリカ貿易地としての五大湖を味方につけて、その経済は大きく成長しています。
→参考サイト「Greater Toronto Marketing Alliance」

Greater Tronto Area












そんなトロントを含むオンタリオ州ですから、この地域はカナダの全GDPの40%以上をたたき出しており、
この数字は今後まだまだ上昇する見込みのようです。

オンタリオ州の人口は1207万人、カナダ全土で約3140万人いますから、約3分の1はオンタリオ州です。
そして、オンタリオ州の1207万人のうち、トロントが人口約470万人、カナダ最大の都市です。
カナダの人口のうち、約7人に1人がトロントに住んでいるということですね。

ここトロントの人口は、1996年から2001年の間に9.8%増加し、これは国の平均4%を上回っています。
→関連記事「米国の人口は3億人突破へ!人口増加率のトップはアラブ首長国連邦(UAE)!」

労働人口の減少に悩む日本ですが、カナダは他国からの移民政策も寛容で、労働人口は増加傾向です。


そしてカナダは何と言っても、世界的なエネルギー・資源国

カナダのエネルギー産業の中心は石油、天然ガス、石炭、ウランなどの生産で、これらはすべて豊富に抱え、
このほか最近では、太陽熱、風力、バイオマス、小型水力発電電力供給プロジェクトなど、
エネルギー効率の優れた代替燃料や再生可能エネルギー
などが、世界の最先端をいっています。
→参考サイト「カナダ大使館 > 経済/ビジネス」

カナダの石油埋蔵量は世界第2位ですが、石油が経済に占める割合は小さく、輸出に占める割合は7%、
GDP対比ではたったの2.5%
に過ぎず、ロシアのように経済がそれほど石油に依存していないというのも魅力的です。
原油価格などに国の経済が大きく左右されるということは、考えにくいでしょう。


カナダ政府の堅実な財政

カナダは、公務員がお金を燃やしてしまうようなどこかの国と違って(怒)、財政もしっかりしています。
→関連記事「税金を払う側の調査よりも、税金を使う側の調査をしたほうがよい」

スイスの経営開発国際研究所(IMD)は、カナダを"G7の中で最も財政のしっかりした国"に選定しました。
実際カナダは、G7諸国の中で唯一財政黒字を計上し続け、カナダ国家予算は、1867年の以来最長の連続黒字です。
ムーディーズやスタンダードアンドプアーズなどは、両社ともカナダの格付けをトリプルAとしています。

カナダの堅実な財政は、私たちにとってそれほど身近な話題ではありませんから、見逃しがちですね。
日本語の新聞を読んでても、カナダはそれほど記事に取り上げられることもありません。

このような、カナダのオンタリオ州の未開発用地をランドバンキングとして運用する会社があります。


70年以上の土地取得ノウハウを持つ、WALTON
→参考サイト「Walton International Group」

WALTONは北米最大のランドバンキング会社で、カナダ、アジア、米国の各都市に拠点を持ちます。
すべてのプロジェクトにおいて既得権益を有し、収益率の高い物件をいち早く抑える力があり
不動産業界において、体系的な知識と高い専門性を持つ国際ランドバンキング企業です。

WALTONはこれまで一部富裕層と法人のみに提供していたランドバンキングを個人投資家に開放しました。
もちろん、銀行や証券会社では販売しておらず、香港・シンガポール・カナダなどの代理店を通じて購入が可能です。

このカナダのランドバンキングの購入単位は、物件により異なりますが、1ユニット100万円前後から
(1エーカー=1224坪が400万円前後から)購入が可能
で、追加購入は1ユニット単位です。
カナダで1エーカー(1000坪以上)を所有なんて、リッチな気分になりますね(笑)

またこの契約は、当初購入価格でのWALTON社による買い戻し契約付きなので、ある意味元本確保型のような
性格も持ち合わせています。
これは契約後61〜66ヶ月の間で、即ち購入した物件が5年たっても上がらないとしたら、
購入者は購入額での払い戻しをこの期間のみ請求できるという契約になります。

もちろん何年かして地価が上がれば、その時に時価での売却は出来ます。
通常3年〜10年後、開発デベロッパーから土地(各プロジェクト)の買取オファーがあれば購入者全員に知らされ、

→→→全購入者の60%の賛成があれば土地を売却してその時点で利益確定させる(キャピタルゲイン確定)
→→→賛成が60%未満なら他のいいオファーがあるまで継続して持ち続けることになります(含み益)

なので、自分がいくら「今売りたい」って思っても、周りがみんな「もっといい条件のオファを待ちましょう」
という意見であれば、自分もみんなと一緒に次のオファを待たなくてはいけません。


そういった意味で、ランドバンキングという商品には、「売りたいときに売れないかもしれない」という
流動性リスクが存在します。
ただ、もともとは長期投資(10年程度)を基本に組み立てられている商品なので、
ほとんどの方が流動性リスクは無視できるのではないかと思います。

先日の香港で、このランドバンキングのカタログ・パンフレット・契約書などの関連資料をすべて入手して、
自分なりに色々と調べてみたところ、カナダ・オンタリオ州のランドバンキングは非常に面白いと感じました。
→もしご興味がある方はおつなぎいたしますので"ご本名で"メールください

資源国の資源ファンドを買うのも一手ですが、このように資源国の土地に投資するのもまた一手です。
それに商品市場は株と比べて時価総額が小さい上に、投機マネーの流入で大きく価格が動きますが、
その点土地は安定運用が期待できますので、10年前後を目安とした長期投資に非常に向いています。

オルタナティブ投資を探せ!〜カナダのランドバンキングについて〜


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ジョセフ・E. スティグリッツ Joseph E. Stiglitz 楡井 浩一

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