昨日の記事で、株式時価総額世界ランキングを書きました。
(
→過去記事「復活日本?!なお成長途上(株式時価総額世界ランキング)」)
それにちなんで、今度は金融機関の
株式時価総額と総資産額の関係を書きたいと思います。
【総資産の割りに評価が低い日本の銀行】
「総資産」=いわゆる会社の規模をあらわします。
「株式時価総額」=いわゆるその会社に対する市場の評価をあらわします。
総資産が大きければ、まぁ言ってみれば
「図体のデカイ会社」です。
株式時価総額が大きければ、投資家や金融機関、その他利害関係者など
「市場の評価が高い会社」です。
→関連記事「三菱東京+UFJが、株式時価総額世界第9位に」
金融機関における、上記2つの相関関係をマトリックスに埋め込んでみました。
横軸に「総資産額」・・・右に行くほど図体のデカイ会社です。巨大な会社。
縦軸に「株式時価総額」・・・上に行くほど市場の評価が高い会社です。
マトリックスのそれぞれのくくりを大雑把に分類すると以下のようになります。
[A]・・・総資産額は小さく、市場の評価は高い
[B]・・・総資産額も大きく、市場の評価も高い。
[C]・・・総資産額は小さく、市場の評価も低い。
[D]・・・総資産額は大きく、市場の評価は低い。
このマトリックスを見てみると、日本の銀行は軒並み巨大な総資産額を持ちつつも、
市場の評価はきわめて低いです。
いわゆる
、「図体はデカイが、その分小回りも利かずに、体質改善や不良債権処理に
とてつもなく長期的な時間を要する銀行。」が日本の大手都銀で、
全て[D]に属します。
逆に、ネット専業銀行や新生銀行など、
新規参入組は[C]に属すると思います。
【HSBC頭取の10年前の予言】
こんな恐ろしい話があります。
今から10年前、バブル崩壊が始まったとはいえ、まだまだ日本の銀行が見た目的には元気だった頃、
香港上海銀行の頭取のインタビューが、イギリスのフィナンシャルタイムズ紙に載っていました。
その会見の中で、頭取は以下のような予言をしていました。
「今後経済のグローバル化が進むと、グローバルに活躍する銀行はどんどん統合されて、
その数は10以下になるまで系列化が進む。われわれHSBCはその一角に残る。
アメリカでは
シティ、チェイス、モルガンなどの名前は残るだろう。
ヨーロッパではオランダの
ABNアムロ、INGグループ、ドイツの
ドイチェバンク。
日本ではグローバルバンキングをやる銀行は1つも残らない。
三菱銀行でもアジアの地域銀行として残っていくのが精一杯だろう。」
恐ろしいことに、この予言はほぼ的中してしまったようです・・・。
→関連記事「日本の銀行&証券、統合でどうなるか?」
【BISの自己資本規制について】
一時、日本の銀行は世界の脅威とみなされていた時代もありました。
それは銀行の経営ノウハウが優れているからではなく、
絶好調な日本の製造業が稼いでくれたジャパンマネーをバックに、
「薄利多売」的な利幅の薄い商品をどんどん拡大していったからです。
いわゆる、
製造業の甘い汁を吸って育っていったのが日本の銀行です。
日本の銀行は運用能力&与信能力に欠けると言われています。
お金を預かっては貸し、預かっては貸し・・・。ただこれしか能力が無いために、
どうしても薄利多売で利益を生み出していくしかないのです。
でも、そんな薄利多売的に業務を拡大している日本の金融機関を脅威に感じていた
欧米の金融界はすごい罠を考えました。
それが、
国際決済銀行BIS(Bank for International Settlements)による、
自己資本規制なのです。
→教えてにちぎん「Q:銀行の自己資本に関する国際統一基準と国内基準の違いを教えてください」
国際業務を行う銀行は、自己資本比率が8%以上ないといけない。という新ルールです。
自己資本比率が低く薄利多売的に貸付を行っていた、日本の大手都銀は狙い撃ちされました。
日本の銀行は、自己資本比率をなんとか高めていこうと努力をしているようですが、
上記のマトリックスのように極めて図体がデカク、改善しようにもなかなか先に進みません。
日本の大手都銀は、まさに今が正念場。業務改善に向けて大変な時期だと思います。
株式時価総額というのは、いわゆる市場の評価です。
「市場の評価の低い銀行に、なぜあえて大切なお金を預ける必要があるのか?」と、
もう一度考えてみましょう。
→関連記事「海外銀行口座の作り方その1 〜どの国で開設するのがよいのか?〜」
今や金融はボーダーレス化し、海外の銀行でも日本人にとって使いやすくなってきました。
マトリックスの上半分の銀行が、どれだけ魅力的なのか、また後日お話したいと思います。
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Posted by causeway_bay at 13:20│
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