香港資産運用奮闘記銀行 > 海外の預金保険制度はどうなっているか? 〜イギリス編〜
2005年01月30日

海外の預金保険制度はどうなっているか? 〜イギリス編〜

FSCS:Financial Service Compensation Schemeイギリスでは、2001年12月の新金融サービス市場法の施行に伴い、
従来金融機関・業態毎に分れていた消費者保護制度を一つに統合する形で、

新たに「金融サービス補償機構(FSCS:Financial Service Compensation Scheme)」が設立されました。

同機構はその名が示すとおり、保護の範囲を「預金」に限らず、
投資商品、保険商品なども対象
とする、消費者にとって優れた預金保険制度です。


また同制度は、個人や小企業など小額預金者の保護を目的としたものであるため、
中規模以上の企業は保護の対象から除外されているようです。



<日本とイギリスの預金保険制度の比較>
イギリス日本
運営主体FSCS(Financial Service Compensation Scheme) 金融サービス保険機構預金保険機構
保護上限額2,000ポンド(約38万円)までは全額保護、
これを超え33,000ポンド(約627万円)までは90%保護。
1預金者あたり1金融機関合計1000万円までとその利息
対象となる
預金者
個人または以下の条件のうち2つ以上に該当する小企業
A:売上高280万ポンド(約5億円)以下
B:総資産140万ポンド(約2.5億円)以下
C:従業員50人以下
・個人、法人を問わず全預金者




<強い信頼を寄せるイギリスの金融システム>

イギリスの預金保険制度は、小額預金者の保護という限定された政策目的の下で、
かつ中小零細金融機関の破綻を想定して運用されています。
(仮に大手金融機関の破綻が起きた場合には、預金保険制度の枠外での処理が図られると考えられる)

またイギリスでは、一人あたりの個人現預金資産(約184万円)が、日本(約599万円)の3分の1以下であり、
貯蓄資産としての預金の位置づけはそれほど高くありません。

この結果、過去に発生した金融機関の破綻でも預金者への影響は軽微に抑えられ、
イギリス国民は、金融システムの安定に対して非常に強い信頼を寄せており、
残高を保険の範囲に抑えて分散しているような預金者の動きはほとんど見られないようです。

世界第2位、イギリスで第1位を誇るメガバンクHSBCの世界最大級の預金額も、
こういった強い信頼性から成り立っています。

が、どうやらイギリスの預金保険制度は、上記の通り「中小零細金融機関の破綻を想定して」
運用されていますので、万が一HSBCが破綻してもほとんど関係ないものと思われます。


ちなみに香港では、預金保険制度はまだありませんが、現在整備中とのことです。




世界の預金保険と銀行破綻処理―制度・実態・国際潮流
 ・ペイオフとは銀行の破綻処理の一手法ですが、各国の手法は千差万別です。
 ・世界の預金保険制度と銀行破綻処理方法の動向、その思想など詳しく解説。
 ・第1章 預金保険と破綻処理の基礎
  第2章 米国の預金保険の歴史と現状
  第3章 米国の破綻処理制度
  第4章 欧州の預金保護と破綻処理
  第5章 カナダの預金保険制度
  第6章 アジアの預金保険と破綻処理
  第7章 可変保険料制度をめぐる動き


銀行・証券・保険 潰れたらどうする―ペイオフ対策マニュアル
 ・ペイオフ実施で現実となった金融機関の倒産。
 ・定期預金から、養老年金、住宅ローン、ミニ株・るいとうまで、
  あらゆる金融商品の防衛策を一問一答でズバリ解説しています。
 ・序章 金融破綻編―なぜ、いま金融機関・経営破綻なのか?
  第1章 銀行編―銀行淘汰の時代
  第2章 証券会社編―3分の1しか残らない?
  第3章 保険会社編―最も契約者の負担が大きい生保
  第4章 外国投資・他編―国内外の「政府」の破綻にどう対応するのか?




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    この記事へのコメント
  1. kzさん、こんばんは(^^)

    香港では確かにまだ預金保険制度はないですが、主要金融機関
    の屋台骨が強固であるためか、いまのところ、信用不安的なも
    のを感じてる人が少ないような気がしますね。

    この辺は日本とは大きな違いです。

    今の日本においては、預金保護政策が脆弱とはいえ、それさえ
    もなければ、不安心理が増大し、もう少し国民は銀行の選別に
    シビアになるのでしょうかね〜。
    Posted by oga-kz at 2005年01月30日 22:00
  2. KZさん(この呼び方いいですね)、
    先日はトラックバックありがとうございます♪

    自分のような素人は・・・と及び腰でしたが、
    いい機会ですし、と申し込みをしてみました。

    今年もどうぞよろしくおねがいします♪

    今年はインド株に手を出してみようとたくらんでいます☆
    Posted by ひさミン at 2005年01月31日 19:20
  3. oga-kzさん、こんばんは!

    英国の金融システムは、ある意味世界一(?)強固なので、
    国民が寄せる信頼性は相当高いみたいですね。

    以前通っていた英会話の先生(スコットランド人・日本在住約5年)も、
    「HSBCは世界最高の銀行だ!」などとほざいておりました(笑)
    英国人の、自国の金融機関に対する誇りと信頼は絶大なものですねー。

    一度、スイス人の意見も聞いてみたいものです。

    Posted by kz@銅鑼湾 at 2005年01月31日 21:48
  4. ひさミンさん、こんばんは!
    (↑ひさミンの「ミン」はカタカナだったんですね・笑)

    最近インド株ファンドの買える証券会社、増えてきましたね。
    中国株の個別銘柄をセレクトするよりは、ファンドですから迷わず買えます(笑

    ひさミンさんは、インドには行ったことありますか?
    私は行ったことが無いので、一度この目でインドを見てみたいのですが、
    約1年インドで過ごした知り合いからは、「絶対に行かない方がいい」と
    強く言われています。(^ー^;
    Posted by kz@銅鑼湾 at 2005年01月31日 21:54

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