香港資産運用奮闘記税金 > 移転価格税制について
2005年07月13日

移転価格税制について

本日の日経新聞投資財務面からの引用です。
「移転価格税制で追徴課税相次ぐ。海外展開で税務リスク拡大」

海外への所得の移転を防ぐ、移転価格税制の適用を受けて多額の税金を追徴される
上場企業がここのところ相次いでいます。

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TDKは近く、2005年3月期の連結純利益を4月発表の449億円から、330億円に減額訂正する見通し。
この理由は、移転価格税制の適用で120億円を追徴課税されたためです。

TDKは主に磁気ヘッドを製造する香港子会社への電子部品の販売価格が問題となり、
2003年3月期までの5年間で、約213億円の所得修正を指摘され、120億円の追加納税が出ました。
しかし、TDKの執行役員は適正な申告を行っているにも関わらず納得がいかないとして、
税務当局に異議申立てをし、裁判での闘いも辞さない姿勢です
。(ガンバレ!!)

京セラも同様に、海外の販売子会社との取引に絡んで、約130億円を追徴課税されて、
ソニーも同様のケースで、約45億円の追徴課税されました。

この、税務当局と非常にもめやすい移転価格税制とは、一体なにか?!

企業は海外子会社への商品の販売価格を下げるなどして、日本法人の利益を減らし、
海外子会社の利益を増やすことができます。


こうなった場合、例えば香港やシンガポールなどの税率の著しく低い国の子会社に利益を出せば、
全体としての税負担が大きく軽減される
のです。
→関連記事「Q2.香港はタックスヘブンですかぁ?(´Д`;」


「これでは税金がとれない!まずいどうにかしなくては!」と、あみ出された税制が移転価格税制です。
こうした所得の海外移転を防ぎ、「日本でしっかり課税しますよ〜」というのが国のねらいです。
1986年に導入され、米国などの主要国でも同様の税制があるそうです。

移転価格税制の仕組み


















例えば、日本で仕入れたものを、海外子会社に価格100円で商品を輸出しているときに、
税務調査の結果、「95円で仕入れたものを100円で売るのは安すぎる、120円で売りなさい」と、
強引に120円が適正価格と判定されると、日本の親会社は20の所得を海外に移転したことになり、
その分に対して、追徴税額を納めなさい。
というものです。

原則として、直近から過去3年分が対象となる通常の税務調査とは異なり、過去6年分が更正処分の対象で
追徴税額が非常に大きくなる傾向
があります。

最近の傾向として、企業活動のグローバル化やグループ連結経営の浸透で、日本の企業は海外で稼ぐ利益が
一段と増加
してきました。
そのため、税務当局は担当人員を増やしたり、情報収集を強化したりと、移転価格税制の執行体制を
強化している傾向
にあります。

しかし、「販売価格」というのは、それぞれの企業の内情や、市場の需給バランスで変化するものであり、
税務当局によって「○○円が、販売適正価格だ!」などと、あんたら公務員に言われる筋合いはありません。

なので、こんだけトラブルになっているのです。

今後さらに移転価格税制による税務当局とのトラブルは増加するでしょう。



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    この記事へのコメント
  1. こんばんは!移転価格税制の説明非常にわかりやすいです。
    適正っていう言葉はいいかげんで都合のよい言葉ですね。
    そういえば、小泉さんも適正に判断するといつもいってる
    ような、、、。
    でもほんと自由経済において役人が売値を適正価格の名のもとに決めるなんてふざけろーです。
    民間から原価100円のものを5円とか10円で買っておいて。監査法人がんばれ!
    Posted by 寅蔵 at 2005年07月14日 22:18
  2. 寅蔵さん、こんにちは!

    > 移転価格税制の説明非常にわかりやすいです。

    ありがとうございます〜。m(_ _)m
    しかし、ちょいグレーな税制ですよね〜。

    Posted by kz@銅鑼湾 at 2005年07月18日 19:34

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