昨日、
中国人民銀行は今まで米ドルと固定相場を採用していた人民元(RMB)の
為替レートを
対米ドルで2%切り上げると発表しました。
それと同時に、事実上の固定相場を改めて、
上下0.3%幅で変動させる変動相場制へ
移行することとなりました。
→[人民元]中国、固定相場制放棄。通貨バスケット制採用
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この時期の切り上げは、市場の予想よりもかなり早い時期の切り上げ発表でしたね。
今後この制度を維持し、上下0.3%幅で毎日変動していくことを考えると、終値が毎日少しづつ上がり、
三ヶ月で、対米ドル20%以上切り上がってしまうこともありえます。
中国人民銀行は、こうした事態を避けるために、米ドル以外にも複数の通貨で変動要因を作る
「通貨バスケット制」を導入しました。
→関連記事「香港ドルのカレンシーボード制」
→関連記事「人民元に対する規制」
【通貨バスケット制とは?】
通貨バスケット制とは、一つのカゴ(バスケット)に複数の通貨を盛り込んで、それらの通貨の
レートを加重平均して、人民元の実質の為替相場が決定されるというものです。
バスケット内に加わる、構成通貨や比重などは公表されないことが多いようですが、
当面はバスケットの通貨構成は米ドル中心になる見通しで、段階的に円、ユーロ、英ポンドなど、
その他の国際通貨を含んでいくとみられています。
例えば、バスケット構成比率が、米ドル7割、円3割とすると、円が対米ドルで10%上昇しても、
人民元の対米ドル相場は3%と、相場の変動は緩やかなものになります。
(注)円ドルレートが変動しても、人民元の通貨バスケットに対する価値が変わらない。
(10%円高の時、−7%×30%+3%×70%=0、10%円安の時、7%×30%−3%×70%=0)
(出所)経済産業研究所
人民元の切り上げニュースに隠れて、新聞の隅の方に小さく載っていましたが、
マレーシアが中国の人民元切り上げに追随し、
マレーシア通貨リンギットも米ドルとの連動を変更し、
通貨バスケットによる変動相場制に即日移行しました。
→<マレーシア>通貨リンギットを通貨バスケット制に即時移行
今回の人民元切り上げは、
国際的に米ドル離れが進んでいることであると同時に、
人民元、円を基軸としたアジア通貨経済圏の結びつきを強めていく契機と成り得ます。
将来、人民元や円を中心として、ユーロのような
「アジア通貨単位経済圏」への変貌がありえます。
とは言っても、
ユーロですら構想から流通までに約50年の年月がかかっていますから、
「アジア通貨統一」は起こり得たとしても数十年もの先の話しだとは思いますが。。。
それと、今回の人民元切り上げと変動相場制の導入が、今後
香港ドルとどのように関わってくるのか、
香港経済にどのような影響を及ぼすのか、当分目が離せません。
→関連記事「香港金融管理局が、香港ドル変動相場制を導入」
そして、
今回の切り上げ幅はわずか2%にすぎません。
国際社会の指摘は、
経済不均衡の是正には最低10%の切り上げは早急に必要とされています。
欧米日諸国をはじめとする、
一層の人民元切り上げ圧力はさらに強くなっていくでしょう。
→関連記事「HSBC深セン口座開設体験談その1 〜人民元預金の口座開設〜」
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Posted by causeway_bay at 09:33│
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