歴史的に様々な問題でぎくしゃくしてきた
マレーシアと
シンガポールの関係改善が急速に進んでいます。
9月にはシンガポール側埋立地の境界線問題が解決し、
通信や金融で両国企業の提携が加速し、
経済関係も協力体制を進めています。
先日の記事にも書きましたが、いまASEAN諸国は大きな規模でかつ早いスピードで経済協力を進めています。
→関連記事「ASEANサービス貿易、2015年までに完全自由化」
なかでも、
ASEANの核となるマレーシアとシンガポールは、提携無しにしてASEANの経済発展はありえません。
民族の壁を越えて、「アジアをひとつの経済圏とする」動きが、いま急速に進んでいます。
両国の政治指導者の交代で過去のしがらみが薄れた上に、「隣国同士強調しなければ経済発展で遅れをとりかねない」
との懸念が、両国の不信解消を後押ししています。
「マレーシアに住む華人もシンガポールのマレー人も新世代。もはや隣国の新聞を読んで影響を受けることはない」
シンガポールのリー・クアンユー顧問相は4月、3年半ぶりにマレーシア訪問でアブドラ首相らと会談し、
1969年から続く
「相手国の新聞販売禁止の見直し」を提案、アブドラ首相も検討を約束しました。
マレーシアとシンガポールの確執の源は40年前にさかのぼります。
両国は、
1963年に発足したマレーシア連邦では一体の国でしたが、
マレー人が多いマレーシア、
華人が多いシンガポールの間で対立が深まり、
人種間暴動も発生。
その結果、
1965年にシンガポールはマレーシア連邦から独立しました。
その後約40年間近く、両国の間では「静かな確執」が続いてきましたが、
2003年、2004年と両国首相が相次いで代わり、両国の関係は大きく変わりました。
2004年6月には、シンガポール証券取引所とマレーシア証券取引所は、お互いの上場株式を売買・決済できる
相互取引システムの共同開発で合意しました。
2005年9月には、マレーシアが国際海洋法裁判所に工事中止を訴えていた埋立地問題も一件落着。
シンガポールがチャンギ国際空港沖で進めている埋立地計画を一部変更し、マレーシアの漁業者に補償金を支払う。
という内容で、
チャンギ国際空港の埋立地問題は解決しました。
※SPASF シンガポールエアポートターミナル(チャンギ国際空港)株価推移
(シンガポール国際空港ターミナルの建設、運営、その他空港サービスの提供)
以上のような、両国の関係改善を見越して、経済関係も強固なものになりつつあります。
2004年の二国間貿易額は、前年比27.7%増の1166億リンギット(約3兆3814億円)と、過去最高額を更新しました。
商業取引のみならず、通信や金融への資本取引も活発化しています。
シンガポール財務省直轄の投資会社
テマセクホールディングスは2004年、マレーシア政府系
テレコムマレーシア株を5%取得、
逆に、マレーシアの政府系投資会社カザナ・ナショナルはシンガポールの携帯会社
モバイル・ワンに出資を決めました。
金融では
マレーシア最大の投資銀行CIMBがシンガポールの地場証券大手、
GKゴーを参加に収めました。
マレーシアは、アジアの十字路となっているシンガポールを、海外市場開拓の足がかりと位置づけています。
両国間には、今も
マレーシアからシンガポールへ供給する水の価格や、
連絡橋建設を巡る問題が残っています。
しかし、政府間では話し合いで解決する方針をお互い確認済み。
二国間の
「ASEANを牽引する経済発展に、大きな懸念はない」と、多くのエコノミストは分析しています。
今後の、
マレーシア・シンガポールをはじめとするASEAN各国の経済発展に要注目です。(^ー^)
→関連カテゴリー「アジア株」
海外投資実践マニュアル(1) 香港 Hong Kong
・インターネットで世界の株式市場に投資しよう!
・日本から郵送で口座開設可能な香港のネット証券会社を紹介。
・中国株(H株、レッドチップス、B株)、日本株、アメリカ株のほか、香港先物・オプション市場
および韓国、台湾、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリア
などの株がインターネットで売買できます。
リー・クアンユー回顧録〈下〉―ザ・シンガポールストーリー
・外資の積極的誘致、アメリカのマスコミとの戦い、対マレーシア関係の浮き沈み、
・日本からの教訓―独立から2000年まで、数々の難題を克服してきた指導者の感動的自伝。
Posted by causeway_bay at 10:07│
Comments(0)│
TrackBack(0)│
Edit