本日の日本経済新聞経済面からの引用です。
「脱税防止、55カ国と連携」
国税庁は2006年度中に欧米アジアを中心とした55カ国と連携して、
国際的な脱税を防止する新しい枠組みつくるという方針で決まりました。
これだけ資金還流がグローバルな世の中になりつつある中で当然の流れです。
最近、以下のようなメールをよくいただきます。
「国税局が香港の金融機関も調べているという噂を聞きますが大丈夫ですか?」
「香港に口座を開こうと思っていますが、最近の日本政府の動きが気になって躊躇しています」
ここで言う
「大丈夫ですか?」というのは、
何に対して大丈夫なのか?と考えているのか、
甚だ疑問に感じているのですが、香港の口座開設目的は人それぞれ様々な理由があるようです。
私が香港の金融機関を好んで利用している理由には、
1.国際的に信用格付けが高く、日本の銀行と比べて安心度が違う
2.金融商品のパフォーマンスが高くて種類が豊富、増え方が違う
3.金利や配当(20万円以下)、外国籍契約型投資信託の売却益は日本でも非課税なので有難い
4.香港から先、今後大きく成長しそうなアジア各国に分散投資できる
5.インターネットバンキングや銀行窓口など、銀行としてのサービスの質が高い
6.近い将来アジアを中心とした複数拠点を持ちたい
7.国際的なマネー感覚が必然的に身につく
8.そして何よりも香港が好き
などの理由です。決して「税金逃れができる」などとは思ってもいませんし、
脱税の道具として香港の金融機関を使っても、必ずすぐに見つかることでしょう。
(その前にむしろ、脱税するだけの恵まれた収入すらもありませんが・・・涙)
今ここではっきりと言います。
「香港の金融機関を使えば脱税ができる」とお考えの方はすぐにやめましょう。
実際に脱税をしている人たちは、上記のような国税庁の動きがとても気になるかもしれませんが、
当ブログ香港資産運用奮闘記をご覧の読者の皆様方は、恐らくほとんどの方が、
「綺麗な税引き後の虎の子資産を運用し、一生懸命考えて少しでも大きなパフォーマンスを得る」
ことを日々考えているのではないでしょうか?もちろん私もそう考えています。
香港資産運用奮闘記は、
「納めるべき税金はきちんと納め、効果効率的な合法的節税をみんなで考える」サイトです。
なので税務当局に対しては、
「香港の金融機関を調べたいのならどうぞご自由にお調べください」
というクリアなスタンスで我々は望むべきだと思います。何一つ悪いことはやってないのですから。
1998年の外為法改正(金融ビックバン)により、海外投資の門戸が開かれました。
それまでは日本の企業や個人が海外との外貨取引を行おうとする時は、多くの場合において、
許可や事前の届出が必要でしたが、1998年4月以降これらが原則として不要になり、
海外の銀行に資産運用を目的として口座を開いたり、外債投資の決済口座として利用することが
自由に出来るようになりました。これも
資金還流の国際化という時代の流れです。
→関連記事「Q3.海外の口座開設って違法じゃないの?(・ω・;」
しかし何一つ悪いことをやってなくても、法人の場合は少し状況が違います。
基本的に最初から疑われます。
先週、私のクライアント先で
税務調査がありました。
これまで年間4〜5件の税務調査に同行していますので、
私は延べ50件弱の税務調査に同行したことになります。
調査官にも色んな人がいました。いきなり切れる人、優しい人、綺麗な人、日本の税制を理不尽に感じてる人、
税務署なのに私よりも税金のことを知らない人、仕事辞めたいとぼやく人、1円単位まで細かく追徴する人、
事前調査が甘すぎて半日で帰った人、女社長と喧嘩した女性調査官、消費税の仕組み全然分かってない人・・・
調査官にも人それぞれ。
一言で公務員という括りでは片付けられないほど多様化してきました(笑)
先週税務調査に入った会社は
在日外国人経営者の貿易業です。
売上規模は年間7〜8億円、利益は毎年200〜500万円。税金は毎年100〜200万円程度払っています。
決してバカみたいに儲かっている会社だったり、怪しいことをやっている会社ではありません。
日本で調達した中古の商材(パソコン、自動車、電化製品など)を、東南アジア、南米、アフリカ、東欧などの
発展途上国に年間7〜8億円規模で輸出しています。
営業努力をし、リストラし、銀行から運転資金を借りて、なんとかちょっとづつ利益を残している会社です。
そんな会社に
「直近の決算期が在庫の金額が多すぎる」という理由で税務調査に入りました。
これは
「ただ単に景気が悪くて一生懸命営業努力をしたが売れ残ってしまった」というだけなのですが、
税務署の調査官×2名と、本局から国際税務専門官×1名が、やる気満々でやってきました。
あれこれ色々調べられて、
結局期ズレ(決算期をまたぐ売上仕入)の計上ミス等で40万円程度の法人税が
追徴されましたが、それを手土産に3人の調査官は喜んで帰っていきました。
取引先の会社名や住所、事業規模なども一生懸命調べて、取引先200件以上ありますが全部メモってました。
しかしもちろん、全て立派な取引実績のある会社で、何も疚しいことは何一つありません。
ここに、
香港、ジャージー島、マン島などのタックスヘイブンの取引先、関連会社、子会社などあると、
この税務調査は一筋縄ではいかなくなるのでしょうね。あらゆる疑いをかけられるでしょう。
→関連記事「Q2.香港はタックスヘブンですかぁ?(´Д`;」
タックスヘイブン税制や
移転価格税制などは、全て法人取引を主体に様々な規制をかけてる税制です。
上記の日経新聞の記事
「脱税防止、55カ国と連携」も、よほど悪質な脱税疑惑があるとかすれば、
場合によって個人への強制調査も及ぶかもしれませんが、基本的には法人の利益移転に敏感になっていますので、
海外取引を行っている経営者のみなさんは、あらゆる疑いをかけられぬようきちんと帳簿・証憑類を整備し、
確実に納得のいく説明ができるような状態にしておきましょう。
→関連記事「移転価格税制について」
話は戻しますが、香港資産運用奮闘記は、
「納めるべき税金はきちんと納め、効果効率的な合法的節税をみんなで考える」サイトです。
国税庁が55カ国と連携しようが取り締まりを厳しくしようが、何も心配する必要はありません。
ただ、脱税する者のおかげで様々な規制が組み立てられ、使い勝手が悪くなる可能性はあります。
なので、
「香港の金融機関を使えば脱税ができる」とお考えの方はすぐにやめてください。
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国際課税の理論と実務〈第4巻〉タックス・ヘイブン対策税制、過少資本税制 ・タックス・ヘイブン対策税制は軽課税国の子会社等に留保された所得を内国法人の所得に
合算するという手法により、これらの租税回避を防止する目的で導入されたものである。
・しかし、制度導入以来、次々と新しい租税回避手段が開発されたりもしているため、
近年ではほぼ毎年のように改正が行われている。
・本書ではこれらの動きも踏まえつつ、制度の概要について紹介するとともに、実務的観点も加味している。
日系多国籍企業の財務戦略と取引費用―金融子会社、移転価格、タックス・ヘイブンをめぐって ・日本企業の国際財務戦略についての研究書。
・金融・資本市場という理論的な枠組みの中で、財の取引にかかわる経済理論をも組み入れ、
海外直接投資にかかわる財務行動を説明する。