投資税制について多くご質問が寄せられておりまして、
私も120%完璧に理解しているわけではないので、色々と調べて整理してみました。
今日から数回に分けて、
投資税制について書き綴ってみたいと思います。
ただ
日本の税制は新しい金融商品が開発されるたびその都度税制がころころ変わり、
徴税側の立場でしかモノを考えてない税制であるため一貫性に欠けていて、
ここで書かれていることが明日には効力を持たなくなる可能性もありますので、
そのあたりをご理解のうえ読み進めてください。
【3種類の課税方法】
個人の所得に対する課税方法には、以下の3種類があります。
1.総合課税
2.申告分離課税
3.源泉分離課税
1.総合課税
給与所得・事業所得・不動産所得・一時所得・譲渡所得・雑所得などが含まれます。
税率は累進税率で、所得が高くなればなるほど税率が上がります。
また家族構成や支払った保険料などによって各種控除があります。
年に一度の年末調整(給与所得の場合)または確定申告で納税が完了します。
2.申告分離課税
株式譲渡所得(源泉徴収口座を除く)・不動産譲渡所得・商品先物取引・山林所得・退職所得などが含まれます。
総合課税とは分離して計算し、年に一度の確定申告で納税が完了します。
3.源泉分離課税
利子所得・配当所得・金融類似商品などが含まれます。
各種取引ごとに金融機関が税額を計算し、投資家に払いだす前に税金が差し引かれます。
税率は基本的には*20%で総合課税とは分離して計算し、税金が差し引かれた時点で納税が完了します(申告不要)
(*上場株式・一部投信の配当金は特例により現在10%です)
【損益通算と損失の繰越】
利益と損失を合計して、それを元に税金をかけることを
損益通算といいます。
利益と損失を過去にさかのぼって通算することを
損失の繰越といいます。
ただし個人には、損益通算と損失の繰越ができる範囲が限定されています。
法人の場合、基本的に全てが総合課税(利益も損失も全て合算)で、しかも損失は7年間の繰越が認められていますので、
「儲かったら税金を払ってくださいね。損をしたら税金を払わなくてもいいですよ」
と国は言ってくれます。
しかし
個人の投資税制は、
「儲かったら税金を払ってくださいね。でも損をしても救済措置はありませんよ。」
という内容の税制ですから、
法人と比べ個人は投資効率が相対的に悪くなる傾向があります。
例えば知り合いが
法人名義で以下の取引を行いました。
・株式取引で1000万円の利益
・商品先物で1000万円の損失
結果として
株式と商品二つの損益を通算して利益はゼロ、税金はゼロですが、
同じ取引を
個人投資家がやると損益通算はもちろんできずに、株式取引の利益1000万円分に対する
税金100万円
(2008年以降は200万円)が持っていかれるということです。
個人投資家が数種類の金融商品を売買する場合、そのモノによって税金の取り扱いが異なります。
金融商品は多種多様です。株・預金・投資信託・商品などは税制を考慮して選択する必要があります。
人それぞれ、
利益金額と損失金額、ポートフォリオ、その他の所得など、様々な状況が考えられますので、
一概に法人で取引したほうがお得とは断定できませんが、一般的に法人名義での取引がお得になるケースは多いようです。
法人税率は22〜30%と、最低所得税率10%よりも高いですが、
様々な必要経費を計上することが可能です。
→関連記事「所得税の定率減税廃止合意 〜サラリーマン法人化のススメ〜」
日本の個人税制は、新しい金融商品が開発されるたびに
継ぎ接ぎでベタベタ後から貼り付けたような税制ですから、
結果としてひん曲がった税制が出来上がりました。
なので、
個人が投資を行う場合には利益を出したらガッポリ税金を取られますが、
損をしても税金を取られることがありますので要注意です。詳しくはまた後日説明します。
→つづきます「投資税制の基本その2 〜預金利子における税制〜」
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Posted by causeway_bay at 17:03│
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