香港の株式市場で、中国本土系企業による資金調達が急拡大しています。
2005年の
新規株式公開(IPO)による資金調達額は11月末時点で168億ドル(約2兆円)と、
香港証券取引所史上、過去最高額を記録しました。
これには、中国政府主導で
大型国有企業の上場が今年に入り相次いでいるのが主因です。
香港企業などを含む全体でも、200億ドル(約2兆3千億円)を突破する見通しで、
IPO規模はロンドンに迫ります。
香港証券取引所(新興企業向け市場のGEMを除く)に今年上場した企業全45社のうち、
中国本土系企業の数は
たったの7社(16%)と少ないですが、
中国本土系企業の資金調達額は全体の87%を占めています。
2005年の中国本土系企業のIPOは、
中国交通銀行、
中国建設銀行、
東風汽車集団などの超大型企業が立て続けに
香港市場に上場したこともあり、このような結果になっています。
特に、
中国建設銀行(HK0939)の資金調達額は92億ドル(約1兆円超)で、
IPOとしては
2005年世界最大規模の金額でした。
中国政府は国有企業を香港証券取引所に上場させることによって、
財務基盤の強化と企業統治能力の向上を狙っています。
香港は金融制度や金融インフラの面において、海外投資家の資金が集まりやすく大型の資金調達が可能です。
世界貿易機関(WTO)の加盟で、中国が国際的に約束した
「2006年末の外資への銀行業務の全面開放」に向けて、
中国の国有銀行は経営体質の強化とグローバル化を急いでいます。
国際取引所連合などの調べでは、
香港の2005年のIPOによる資金調達額は日本(43億ドル)を大きく上回り、
ロンドン証券取引所(241億ドル)に迫りつつある勢いです。
来年も引き続き、
中国銀行や
中国工商銀行などの国有商業銀行の香港上場が見込まれており、
世界的にも高水準のIPOが2006年もまだまだ続きます。
ただ、
粉飾・収賄など中国企業の不祥事も多発しており、
管理監督体制の強化もさらなる課題事項です。
香港証券先物監督委員会(SFC)では、こういった粉飾・収賄などの不正防止の強化に向けて、
10月から新しいトップにロンドン証券取引所の元幹部である英国人を起用しました。
数日前の日経新聞の記事に掲載されていましたが、こんなにIPOに沸いている香港証取とは真逆に、
上海と深センの株式市場の資金調達力が急激に低下しているため、証取としての機能が働いていないようです。
上海と深センは証券取引所としての歴史が浅く、
外国人投資家に対しても様々な制限が設定されています。
尚且つ香港とは違い、中国共産党の政権下におかれているために政治リスクの影響をもろに受けやすく、
外国人のお金がなかなか流れてこないという問題点を抱えています。
上海と深センはまだまだ未成熟です。今後時間をかけてじっくりと育っていく証券市場でしょう。
私的には今のところ、人民元と同様に様子見といったところでしょうか。
→関連記事「人民元ってどうよ?!」
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Posted by causeway_bay at 13:55│
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