日本を除いたアジア企業の株式時価総額を2005年末時点でランキングしたところ、
2004年比で韓国勢が大きく躍進し、韓国経済の復調を背景に投資家の注目度が高まりました。
世界的な半導体及び周辺機器メーカー、
サムスン電子がアジアでの株式時価総額を第2位にのし上げ、
国民銀行、
韓国電力公社、
現代自動車、
ポスコ、
ウリィ銀行などがトップ20入りを果たしました。
野村インターナショナルの集計によると、対象企業の時価総額は
約2兆961億ドル(約241兆円)で、
12ヶ月前と比べて、約20%増加しました。
首位は前年と変わらずHSBCです。
順位 | 昨年 | 企業名 | 業種 | 市場 | 時価総額 (百万USD) | 前年比 増減率(%) |
1 | 1 | HSBC | 銀行 | 香港 | 181,847 | ▲4.9 |
2 | 3 | サムスン電子 | 半導体 | 韓国 | 96,062 | 50.8 |
3 | 2 | 中国移動(香港) | 通信 | 香港 | 93,521 | 40.2 |
4 | 5 | 台湾積体電路製造 | 半導体 | 台湾 | 47,054 | 26.3 |
5 | 4 | ハチソンワンポア | 通信・港湾 | 香港 | 40,607 | 1.8 |
6 | 10 | 中国海洋石油 | 石油 | 香港 | 27,799 | 26.1 |
7 | 7 | シンガポールテレコム | 通信 | シンガポール | 26,201 | 8.1 |
8 | 21 | 国民銀行 | 銀行 | 韓国 | 25,466 | 94.7 |
9 | 6 | 恒生銀行 | 銀行 | 香港 | 24,954 | ▲6.1 |
10 | 14 | 韓国電力公社 | 電力 | 韓国 | 23,969 | 45.1 |
11 | 9 | 長江実業 | 不動産 | 香港 | 23,767 | 2.9 |
12 | 8 | 新鴻基地産 | 不動産 | 香港 | 23,381 | ▲2.6 |
13 | 19 | 鴻海精密工業 | 電子部品 | 台湾 | 22,133 | 50.5 |
14 | 25 | 現代自動車 | 自動車 | 韓国 | 21,093 | 81.0 |
15 | 11 | 中国銀行(香港) | 銀行 | 香港 | 20,318 | 0.6 |
16 | 15 | ポスコ | 製鉄 | 韓国 | 17,429 | 11.3 |
17 | 38 | 中国石油天然気 | 石油 | 香港 | 17,280 | 84.1 |
18 | 12 | 中華電信 | 通信 | 台湾 | 16,685 | ▲12.3 |
19 | 62 | ウリィ金融グループ | 金融 | 韓国 | 16,033 | 149.5 |
20 | 17 | 台塑石化 | 石油 | 台湾 | 15,893 | 5.4 |
では、ひとつひとつ国ごとに見てみましょう。
【韓 国】
サムスン電子が昨年の3位から2位に浮上し、同社の時価総額は961億ドルと、
前年度比較で約51%も増加しました。
日本の同業社
キャノンの時価総額の約2倍にあたる金額です。
半導体メモリ世界最大手のサムスン電子は、株式時価総額は
韓国市場の1〜2割程度を占め、韓国株式市場で
圧倒的な存在感を出しています。
韓国最大手の
国民銀行は8位、
韓国電力公社が10位、
現代自動車が14位、
ポスコが16位、
ウリィ金融グループが19位とすべて株式時価総額を膨らませ、
韓国勢はアジア市場でも圧倒的な存在感を見せています。
いずれも、韓国の昨年来の景気回復に伴う業績拡大へ期待値から、韓国株に
投資家の資金が流れ込んできました。
現代自動車は、小型車を中心とする北米向け市場や中国市場での成長が、
欧米人投資家に評価されています。
→2005年の株価上昇率アジアNo.1の韓国株に投資する方法とは?
【中 国】
香港上場の中国勢も、高成長を追い風として健闘しています。
中国最大の携帯電話会社、
中国移動(香港)は、順位は下がりましたが
時価総額は約40%の増加させ、
日本のNTTドコモを追い抜きました。
石油会社の
中国海洋石油(CNOOC)、
中国石油天然気(ペトロチャイナ)なども、原油高に支えられ、
それぞれが大きく時価総額を上げました。
→関連記事「中国3大石油、最高益。海外で権益拡大急ぐ構え」
【台 湾】
台湾勢では、半導体受託生産大手の
台湾積体電路製造が4位、ゲーム機などの受託生産大手の
鴻海精密工業が13位。
これは、台湾での
ハイテク景気の回復期待が背景にあると言われています。
逆に、18位の固定電話最大手の
中華電信の時価総額は2桁減少しています。これは
携帯各社との競争激化や、
民営化に向けた台湾政府国有株の放出が需給悪化につながるため、投資家に敬遠されてきています。
【香 港】
香港勢は状況が違い少し苦戦しています。上位20社中時価総額を減らした企業は4社ありました。
時価総額首位を独走するHSBCですが時価総額は約5%減少し、ハンセン銀行も約6%減少しています。
→関連記事「ハンセン銀行(HK0011:Hang Seng Bank Ltd)が約定されました」
香港は昨年、米国の利上げなどで資金が流出し、釣られて香港も金利が急上昇しました。そんなわけで昨年夏以降、
香港ドル普通預金は、なんと2.0%というめちゃめちゃ利回りの高い金融商品に生まれ変わってしまいました(笑
恐らく、50万円程度でパワーバンテージを開設して
「口座維持手数料かかるから早く送金しなくちゃ」と思ってたら、
手許に届いたステイトメントを見て、
「口座維持手数料より毎月もらえる利息のほうが高かった!」
と、ちょっとびっくりしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昨年夏頃に口座を開設した方は、まだ円高でしかも香港ドルの金利も上がってしまってウハウハですね。
香港の銀行からしてみれば、それだけ金利負担が増えましたから収益に大きな影響があったのでしょう。
しかし、2006年の香港経済は好調を維持するとの見方があります。
ハンセン指数は年初から4%以上の上昇を見せていますが、
モルガンスタンレーは最新レポートで、
2006年度中にハンセン指数がさらに上昇し、17350ポイントまで上昇するだろうと予測しています。
その理由として
1.香港の2006年GDP成長率が6.8%に達する見通しである
2.米国+香港で利上げが打ち止めとなり、インフレが加速する
3.対米ドルで人民元が上昇する
などがあげられます。
このレポートを信じるならば、2006年は上記の理由でハンセン指数銘柄を買っておけということでしょうか。
ちなみに日本の企業ですが、上の表に埋め込むとすると、
トヨタ自動車はHSBCの次にランクインされます。
NTT、三菱東京フィナンシャル、みずほフィナンシャル、ホンダは中国移動(香港)の次に
ランクインされますので、日本の企業もだいぶ健闘しています。
→関連記事「復活日本?!なお成長途上(株式時価総額世界ランキング)」
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Posted by causeway_bay at 15:30│
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