日銀は世界的に見て例のない非常事態の政策運営を採用したのですが、量的緩和政策がゼロ金利政策と
最も異なる点は、
インフレに対する政策の目的をさらに一歩進めて「インフレターゲット政策」を
打ち出したことです。
期限を区切っていつまでに物価上昇率をゼロ以上にする、と日銀がはっきりと打ち出すことで、
市場に対してインフレ予想を創り出すことを狙ったものです。
その政策から5年が経過しました。量的緩和政策によって日本の金利はずっとゼロのままの状態です。
この間、
2001年12月のWTO加盟をきっかけに、中国が世界経済に大きく躍進するようになり、
中国の経済発展に伴って原油や銅、アルミ、ステンレスなど産業の基礎素材が大量に消費されるよう
になりました。
中国という「眠れる獅子」が一大成長国家として忽然と出現したことで
資源・エネルギー価格が一気に
上昇し、原油価格は昨年秋、ついに70ドル台に乗せました。
それがインドやロシア、ブラジルなどの資源国経済を活性化させており、世界的な一次産品ブームが
湧き上がっています。
これらの動きが素材価格の上昇を通じて、マーケットのインフレ心理に火をつけています。
日銀の量的緩和策はそろそろ本来の目的を果たしたと言ってもいいでしょう。
残された問題は、
いつ量的緩和政策を解除するか、言い変えれば中央銀行としていつ正常なスタンスを
取り戻すか、という点に移っていました。正常な政策スタンスに戻るだけとはいえ、それはそれで金利が
上昇することになるため、マーケットの心理は揺さぶられるのです。
なので、今回は「金利は当分据え置き」と発表しています。しかし資金の需給バランスを考えると
近い将来、金利が上昇するのは必然の流れです。
インフレもデフレも、人間の営みすべての根幹に関わる奥の深い問題なのです。。。
→関連記事「で、日銀の量的緩和政策解除でどうなるか?」
Posted by causeway_bay at 12:07│
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