日銀が量的緩和政策を解除したことを受けて、住宅ローンや企業向け貸し出し金利は
じわりじわりと上昇することになりそうです。
→関連記事「Q21.日銀の量的緩和政策ってなんですか?(’◇’ゞ」
量的緩和政策解除に連動して、物価上昇局面の入り口に差し掛かろうとしています。
藤巻健史さんも、著書の中で力強く訴えていますが、
「これからはインフレ対応の資産形成を!」 これ結構重要なキーワードです。
→関連記事「伝説のトレーダー藤巻健史さんにお会いしました」
藤巻さんは
「長期固定でガンガンお金を借りて、株や不動産、外貨建て証券に投資しましょう」
と強く訴えていますが、そうはしたくても個人が長期固定で資金を調達するのはなかなか難しく、
同様のことを実践するのはなかなか現実的ではありません・・・(涙)ではどうするか?!
【デフレだとどうなる?!】
これまではデフレ下でしたので、
デフレ = モノの値段が下がる = 通貨の価値が上昇する
という構図でした。デフレ下では、いま1万円で1個買えるものが、時間が経過するにつれ
1万円で2個買えるようになるわけですから、
1万円の価値は上昇することを意味します。
しかし「もうこれ以上下げようがないだろう」というくらい、デフレは最終局面を迎えています。
新聞に掲載されている
日銀短観でも、
「CPI(消費者物価指数)、○○%上昇」という記事を
最近よく見かけるようになりましたね。そうです、
日本はインフレの入り口に差し掛かっています。
【インフレだとどうなる?!】
インフレ下では、もちろん
上記のデフレとは全く逆の動きをしますので、
インフレ = モノの値段が上がる = 通貨の価値が下落する
という構図になります。インフレ下では、いま1万円で2個買えるものが、時間が経過するにつれ
1万円で1個しか買えなくなるわけですから、
1万円の価値は下落することを意味します。
よって、
これまでのデフレ下では、せっせとせっせと円建て預貯金をしていれば、低金利とはいえども
相対的に資産の価値は上昇していったわけですが、
インフレ下では預貯金では資産価値が目減りするのです。
【国家・銀行・個人のバランスシート】
●↑上の図を見てください。
国家のバランスシートは、
「長期固定金利の国債で資金を調達しているのに対し、資産ポートフォリオは、
土地建物などの不動産、外貨、外貨建て証券・・・」
これは、インフレ対応のポートフォリオです。
これから物価が上昇し金利が上昇していく局面を迎えるにあたり、国家は逃げの体制に入ってます。
インフレで資産価値が上昇すれば、膨大な借金(国債)は、返済がだんだんと容易になってきます。
例えば
100万円分の負債は、新たに借りない限り100万円のままですが、
100万円の資産は価値の上昇によって、
200万円にも300万円にも上昇する可能性を秘めています。なのでもし国家が保有する100万円分の資産が
200万円にも300万円にも上昇すれば、その譲渡益で膨大な借金を返済することができますから、
インフレ局面では、長期固定金利の借金は返済が容易になっていくのです。
もっと解りやすく乱暴に表現すると、
「お金(国債)を借りたときは、1万円あれば高級レストランで食事をすることができました。
しかし、お金(国債)を返すときにはインフレで牛丼一杯が1万円という値段になっていました。
でも借りたお金は1万円。この1万円はきちんと耳をそろえて返しますよ、何か文句ありますか?」
そんな感じです。
日本国家がどうやって借金を返していくのか?
これは誰もが注目しているテーマだと思いますが、この膨大な借金を無くすには、
1.徳政令(返済原資を国民から略奪する=借金を踏み倒す)
2.ターゲットインフレ(借金を目減りさせる)
今のところ、このどちらかしかありません。しかし
1は非合法ですから、国民がそうは納得しません。
となると、
合法的に借金を減らしていくには、2のターゲットインフレしかありません。
もちろん、コツコツと税収増やして経費を削減していくのが一番の理想系ですが、
消費税数パーセント上げて人件費削減したところで、これまで積み重ねてきた膨大な借金には、
何の影響力も持たないという取り返しのつかないところまで来ています。
・・・などと、こんな記事を書いてる最中にも
1時間あたり38億円もの借金が膨れ上がっています。
→参考サイト「日本の借金時計」
なので、国家は
「ターゲット・インフレ(意図的にインフレをもたらすこと)」を戦略的に進行させています。
→関連記事「財政収支を10年後トントンにさせるには、消費税12%が最低必要」
そしてバランスシートに話を戻しますが、
低コストで資金調達できる長期国債は、誰が購入しているかというと、
みなさんご存知の通り、
日本の銀行が大量に買っていますよね。
日本の銀行はどこから資金を調達しているかというと、
国債よりもさらに調達コストの安い、
我々国民の預貯金から、超低金利で資金を調達しています。
●その
国民のバランスシートはどうかというと、
「変動金利(例えば住宅ローンなど)で資金を調達しているのに対し、資産ポートフォリオは、
預貯金、住宅など・・・(少し賢い人は、株式、外貨建て証券などに分散させています)」
変動金利で資金を調達し、せっせとせっせと円建て貯金するのは、デフレ対応のポートフォリオです。
デフレ局面では、相対的に通貨の価値が上昇しますからこれで十分資産運用ができたのですが、
今後インフレが起こる可能性を考慮すると、このままでは資産は実質目減りしていきます。
しかも金利は上昇していきますので、変動金利の借金は金利負担が膨れ上がり、
「資産は減るけど負債は増える」
という、デフレ下とは全く逆の動きをします。
インフレ下では、「株式や不動産」の価値が上昇していきます。なぜでしょう?
1.インフレというのは、前述の通り、物価が上昇することを言います。
2.物価の上昇は、企業の売上高増加をもたらします。
3.企業の売上高増加は、企業の所得増加をもたらします。
4.企業の所得増加は業績に連動し、給与支給額の増加をもたらします。
5.給与支給額の増加は、個人所得の増加をもたらします。
6.個人所得の増加は、個人がどんどんモノを買うようになります。
7.個人がどんどんモノを買うと、需要が膨れて物価はさらに上昇します。
8.上記2に戻り、繰り返します。
バブル絶頂期に「日産シーマ現象」というのが起こりました。
これは、所得の増加で豊かになった人たちが、こぞってセルシオやシーマなどの4ドアセダン高級車を買い、
高級車の製造が需要に追いつかなくなった現象をいいます。
もちろん、車に限らず、住宅や電化製品なども飛ぶように売れます。
飛ぶように売れるので、企業はウハウハで株価ももちろん上昇し、
住宅ブームで不動産も上昇します。
なので、こういったインフレ下の経済では、
「預貯金よりも、株式や不動産、外貨建て証券などで保有するのが資産を目減りさせない大原則」
しかし私個人的な意見としては、
保有しているだけでコストがかかり、さらに流動性の低さから、
不動産投資に関しては今のところ消極的ですし、あまりおすすめはしません。
しかも今後押し寄せてくる少子高齢化を考えると、
空室率が大幅に増えるであろうワンルームマンション投資ほど馬鹿げた投資はない
不動産ブローカーはよく
「節税になりますよ」と言った売り文句で、サラリーマン向けの
ワンルームマンション投資を売り込んでいますが、
確かに不動産所得のマイナスで、給与と損益通算すれば
会社から差っ引かれている源泉所得税がいくらか戻ることにはなるのですが、
所得税が戻っても、金利や固定資産税、管理費等で別の支出が増えてしまっては元も個もありません。
さて、今日本がこうなる(インフレになる)という前提で考えると、
1.住宅ローンを持つ人は早めに返すことが何よりも資産運用であり
2.預貯金以外の、株式や外貨建て証券などを組み込むことが最適なポートフォリオ
と言えるわけです。
さらに言うならば、もう少し気の利いたリスクマネジメントとして、国際分散投資が上げられます。
「香港の金融機関を利用するのは、国際分散投資の上で最も有効な手段」と言えるのです。
→関連記事「なぜ香港での資産運用なのか?!」
・・・というわけで、我々も逃げ遅れてはいけません。
着実と逃げの体制に入っている日本国家と同様のポートフォリオを組むことが、インフレ対応型の資産運用です。
Posted by causeway_bay at 13:43│
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