しかし、新聞に登場するGCCという単語は、経済や文化的要素の強い記事よりも、どちらかというと、
政治や軍事的要素の強い記事にこの単語が使われていることが多いようです。
がしかし、実はそれ以上に、経済面において要注目の単語なのです。
→関連記事「湾岸6カ国単一通貨2010年導入、そして2015年変動相場制へ」
GCCの加盟国は、人口の多い順に
1.サウジアラビア(人口2400万人)
2.アラブ首長国連邦(UAE)( 〃 432万人)
3.クウェート( 〃 275万人)
4.オマーン( 〃 242万人)
5.カタール( 〃 74.4万)
6.バーレーン( 〃 68.9万人)
(↑クリックすると外務省の詳細データに飛びます)
以上6カ国です。
6カ国合計で人口は3500万人足らずです。
うち70%近くの人口をサウジアラビアが占めます。
6カ国でもっとも
国民1人あたりのGDPが高いのは、カタールで36,476ドル、次いで
UAEが24,212ドル
そして
カタールの経済成長率はなんと20.5%(2004年)、UAEは同8.5%(2005年) となっており、
急速に国民が豊かになっているエリアです。IT化も世界最先端をいき、官民あげて効率化が進んでいます。
→参考サイト「Business Empowered > 変革へ向けた官と民のスクラム」
参考までにアメリカの国民1人あたりのGDPは37,622ドル、香港25,444ドル、日本は35,000ドル。
まだまだ日本は豊かですが、とあるシュミレーションによると、
「2030年までに日本の1人あたりGDPは米国の50%にまで落ち込む可能性がある」とも言われています。
→参考「外務省 > ジョンストンOECD事務総長による基調講演要旨」
GCCは上記に書いたとおり、6カ国合計で人口は3500万人足らずです。
各国の人口が数千万人〜数億人を抱えるアジア諸国と違って人口が多いエリアではないので、
その地域の
爆発的な消費市場の拡大は考えにくいのですが、
潤沢な原油資金をもとに、医療・教育・
文化・交通・通信インフラなど、ビジネスと住環境の整備を急ぎ、世界各国から外資系企業や
数多くの移民を受け入れて資本市場と労働力を急ピッチで強化しています。
→関連記事「米国の人口は3億人突破へ!人口増加率のトップはアラブ首長国連邦(UAE)!」
このように、GCC諸国は石油によって国益をあげて、その資金で数多くのインフラや産業を発展させて
いますが、
石油は有限資源ですから、いつまでも石油に頼った成長ではいけないと、UAE、なかでも
ドバイ首長国をはじめ、金融や観光、貿易産業を中心に、石油によるGDPを意図的に減らしています。
→関連記事「イスラムへの理解無しに海外投資は語れない? 〜イスラム金融のマネーが激流〜」
このGCC諸国をさらに拡大したエリアを、
MENA(Meddle East North Africa・中東&北アフリカ)
と呼びます。ひょっとしたら数ヵ月後、BRICsほどに流行る言葉になるかもしれません。
MENAの特徴は、
世界のGDPに占める割合はまだまだ小さく、しかしその成長力は計り知れない、
石油やガスなどの天然資源が豊富で、
欧州、アジア、アフリカ、CISの貿易拠点となりやすい、
地政学的メリットを存分にかかえていることです。
「湾岸諸国って、近くにイランやアフガニスタンなど、治安の悪い地域や
タリバン勢力などがあるけど、湾岸諸国に投資して大丈夫なの?」
確かに我々日本人からしてみると、これってごもっともな質問。
しかし例えば、
イラクとUAEの距離はアラビア海を挟んで、日本と北朝鮮ほどの距離があります。
「隣の国で核実験やってて、はたして日本の株に投資して大丈夫なの?」
実際にドバイ在住の英国人に言わせると、このような質問をするのと同様のレベルだと言われます。
ここ最近は、海外の知り合いとメールでやりとりをすると、北朝鮮のリスクプレミアムが存在する日本に、
みんな声をそろえて「日本や韓国の株は大丈夫か?」と聞いてきます。
→関連記事「北朝鮮の核問題 〜韓国のリスクプレミアム〜」
話を戻しますが、このような
MENA諸国は、我々日本人にはあまり馴染みがないのですが、
実はいま世界中の注目の的であり、すでにこういった地域の金融機関や通信インフラ、
消費財、建設業、不動産などに投資するファンドも販売されています。
→もしご興味がある方は代理店におつなぎいたしますのでご本名でメールください
日本でこのようなファンドが恐らくまだ販売されていないのですが、
一時期のBRICsファンドのように、
基準価格がぐわーっと上がってきたころに、ファンドオブファンズで組成されるんでしょう、多分。
→関連記事「Q12.ファンド・オブ・ファンズ(FOF)って何ですか?(・ω・;」
この地域は世界の石油、天然ガスなどエネルギー産出の中心地帯であるにかかわらず
全世界の株式発行総額のうちわずか2%しか占めていません。
そしてエジプト、UAE、カタール、ヨルダン、クウェートなど湾岸諸国の株価指数はここ2年で、
アジアのそれを上回るパフォーマンスをしめしており、なかでも特にエジプトなどは、
2003年の年末から
24ヶ月の間に約6倍にも上昇しました。
その次を行くUAEも4倍になっています。
上記のグラフからも分かるとおり、昨年の(2005年)この地域の株式は、エジプト150%、UAE107%、
サウジアラビア106%といずれも上昇しましたが、
2006年はここ半年間で大幅にマーケットが修正され、
大幅な下落をたどってきました。そして今が買いのタイミングかと感じています。
しかし、これらのエリアは
石油をはじめとした商品市況に大きく影響されやすく、原油価格が動いたなどの
影響で、株式市場が乱高下します。ロシアもそうですが、国の経済そのものが商品市況に大きく依存します。
それに、
市場ごとに見ると時価総額がそれほど大きくないので、価格の触れ幅もかなり大きめの、
ハイリスクハイリターン市場という認識が必要です。
なので、
MENAやGCC諸国のシングルマーケットへの投資は非常に危険ですが、それらすべて組み込むと、
他の新興市場に劣らない時価総額と出来高があり、それがファンドとしてとても面白味を増すのです。
しかし、UAEなどは先にも書きましたが、
「脱!石油依存国家」を目標に、シンガポールを手本にした、
金融・貿易・通信・観光立国を目指しており、現在国のGDPの3割程度を占める原油ビジネスを、
2030年にはゼロパーセント!に持っていくという、とんでもなく大きな目標を掲げていますので、
それに向かって動きはじめた湾岸諸国が、2030年にどれだけの成長を成し遂げているか、とても楽しみです。
→関連記事「サウジアラビアが国内6カ所1200億ドルの「メガ経済都市」建設」
多額の外国資本もどんどん流入していますから、株式時価総額の成長も、ある程度の長期スパンで見ると
とても楽しみな市場です。私は中東圏のお客が多いということもあり、個人的には大好きな投資先です。
この、とても興味深い湾岸諸国、日本人にも手軽に投資できる日も、そう遠くはないでしょう。楽しみですね。
しかしそうなる前に、みんなよりも先回りして買っておくのが、牡蠣の身を手にすることができるのです。
「先頭を行くものが牡蠣の身を、2番手は牡蠣の殻を手にする」
これは世界的大富豪であり、また著名投資家でもあった
アンドリュー・カーネギーの有名な格言です。
誰もやっていないことは大変勇気のいることですが、誰もやらないうちに(価格の安いうちに)
やる(仕込む)のが、最も早く夢を達成する効果的な投資法です。
→関連記事「資産形成のキーワードその2「逆張り戦略 〜他人と同じことをやっていたらだめ〜」」
↑注意:ドバイのガイドブックではありません。
ドバイの政治・経済・歴史・文化などが詳細に書かれた、ドバイを理解するための教科書です。
Posted by causeway_bay at 13:05│
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