「バリ島のホテルを買収しないか?」
昨夜、バリ在住のとある知り合いから持ちかけられた言葉です。
その方のお話によると、
バリ島のとある中型ホテルが売りに出されるかもしれない。
そのホテルは、私も何度か泊まった事があるのでよく知っているホテルです。
バリ島は2回の爆弾テロ以降、観光客が激減していて、未だ完全復活していません。
なので、ブランド力のある5つ星ホテルや大型チェーンホテルは別としても、安くも無く高くも無い、
そんな一番中途半端な中級クラスホテルは経営が行き詰っているところが多いのです。
今回、売りに出される可能性のあるホテルは、ングラライ国際空港から車で約10分のところにある、
クタ地域の中型中級ホテル。客室数は約150室で、インドネシア人経営の老舗リゾートホテル。
このあたりのこの規模のホテルは、これといって何の特徴も無く、特に経営が厳しいのではと思います。
知人が言うには、
「売買価格にして恐らく2億円ちょいでいけるのではないか」
と言っておりました。そして、
購入資金はインドネシア現地銀行の全額融資を使うというものです。
かなりアバウトな概算見積もりですが、修繕・増改築・調査費・広告費・教育費用など諸経費もろもろ含めて、
ざっと3億円近くは到達してしまうかなと言ったところです。
単純計算で、
3億÷150室=小型ヴィラ一棟あたり200万円の初期費用
1泊1室10000円で客室稼働率50%と想定して、
一棟あたり年間売上高182万円×150室=年間売上高2億7375万円
人件費と物価の安いインドネシアゆえに
営業利益率40%と強気に出る(笑)
すると年間営業利益1億900万円
利益の半分を返済に充てて、4年目に1億円の追加融資で50室増室して規模拡大、売上高30%増。
初期費用分は5年間で完済しても、年間5,000万〜7,000万円のキャッシュは残るという、
なんともイケイケドンドンで前向きな収益プラン(笑)
うまくいけば5年ではなく3年足らずで全額償却できるか?(んな甘くないか・笑)
と、とても夢のあるワクワク話なのですが、色々と検討して電卓を弾く中でこれには二つ問題があります。
問題1.クタ地域にリゾート地としての魅力が薄い
バリ島に行ったことがある方であればお分かりかと思いますが、空港近辺のクタ地域はバイクや自動車の
排気ガスが吐き出され、バックパッカーが集まる安宿がたくさんあり、人も店もホテルも多くて海も汚い。
このあたりは波が荒くてダイナミックなので、サーファーたちには人気のスポットでもありますし、
夜まで賑わっているエリアなので、観光地としては面白いですが、リゾートとしては魅力に欠けます。
そして、
もちろんそんな場所がゆえに、爆弾テロの標的となりやすいのです。
(爆弾テロが起こった場所は、2回ともクタ・ジンバランでした)
今のところ私個人的によさそうだなと思っている候補地は、クタから北へ移動した、
スミニャック、
さらに北へ移動して
クロボカン。クロボカンあたりまで来るととても静かで、
土地の価格もクタの
4分の1程度まで下がるそうです。あるいは
ウブドもいいですが、ウブドは土地が高い。
それか東の端へ行って、
チャンディダサ。ここにはあの
アマンリゾーツがでーんと構えています(笑)
朝日の拝めるチャンディダサか?夕焼けの綺麗なスミニャック、クロボカンか?と問い詰められると、
迷わず私は夕焼けの沈む西海岸を選んでしまいますが(笑)、でもチャンディダサも魅力的です。
というわけで、今のところ候補地は、
スミニャック、クロボカン、チャンディダサ。
なので、今回買わないか?と言われたクタのホテルはコンセプトから外れるのでもちろん見送り。
問題2.インドネシア現地の銀行融資は金利がべらぼうに高い
とにかく、今インドネシアは金利がアツイ!!いや高い。地元銀行の不動産融資で
年16〜19パーセントです。
それにしても高い(笑)
日本の銀行系消費者ローンとそれほど差が無いような気がします(笑)
→三井住友銀行グループのアットローンは即日審査・最高300万円・実質年率15.0〜18.0%
なので、営業利益率40%と強気に出たとしても、経常利益で十数%ダウンしてしまいます。
仮に営業利益率が20%まで落ち込んだら、当初2〜3年は利払いに利益が食われてほとんど利益が出ません(笑)
融資は普通、地元銀行(日本で言うと、地銀や信用金庫)のほうが融資条件・サービスともによさそうですが、
バリ在住の知人のお話によりますと、地元銀行はいい加減だし金利も高くてサービスも悪いので、
デンパサールのシティバンクなどから融資を受けたほうが有利。とのことでした(なるほど)
【Citibank Bali Denpasarの連絡先】
住所:Graha Mahkota Jl. Teuku Umar 208-210 Denpasar 80113
電話:(0361) 26-9999
・・・早速連絡してみるか。問い合わせるだけならタダだし(笑)
ちょっと余談になりますが、
インドネシアは、まず金融システムに問題があります。
不動産融資に限らず、インドネシアが国のインフラ整備に必要な、低利の長期資金を大量に
供給することは難しいでしょう。
・・・ということは国の成長に「?疑問符」が打たれます。
金利が非常に高いというのも問題ですが、金融の中核をなす商業銀行に、貸し出しノウハウ、調達ノウハウ、
与信ノウハウなど、また金融システムもまだまだ未成熟な点も問題です。
下の表を見ると、
インドネシアの2004年末の貸出残高の対名目GDP比率は23.4%であり、
1996年末時点(アジア通貨危機以前)の55.4%のおよそ半分まで、貸出残高が縮小しています。
ちなみに、経済成長著しいBRICs諸国の融資残高の伸びは、インドネシアとは逆に著しく成長しています。
→関連記事「BRICs諸国の個人向け融資3倍超。過去4年住宅ローン増加」
アジア通貨危機以後、インドネシア商業銀行の機能は少しづつ回復しつつはありますが、それにしても
インドネシアの貸出残高の対名目GDP比率の低さは、アジア諸国の中では際立って低いです。
この表を見る限りでは、
フィリピンも同様に低くて、資金需要・成長性に「?疑問符」ですね。
でも、ずっと金利が高くて物価が安いという状態が続いていますので、ある程度まとまった現金があれば
回収の早いビジネスができるというのも、こんな国ならではのメリットです。
(↓それにしてもこれを見ると、香港人はたくさんお金を持ってて、たくさん借金もしてるんですねー)
・・・とまぁ、こんな2つの理由から、今回の話に関しては一旦見送りとなりました。(^ー^;
でもとてもいい話をいただけたと有難く思っています。今回の買収話で100歩くらい先に進んだ気がしました。
→関連記事「バリ島ホテル建設についてその1 〜いくらあればホテル建設できるか?〜」
→関連記事「インドネシアの税金」
→参考サイト「インドネシア投資調整庁」