本日の日経新聞経済面からの引用です。
「株軽減税率廃止提言へ。政府税調、金融一体課税を導入」
政府税制調査会は14日、株式譲渡益や配当に摘要される軽減税率(現行10%)を
2008年中に廃止することで、大筋が合意し、しかも将来的には、金融一体課税を
本格導入することでも一致しました。
【税率は現行10%→改正後20%に引き上げ】
個人投資家の株式譲渡益や配当にかかる税率は、
得た利益に対して20%になります。
10%の軽減税率は、譲渡益が2007年12月売却分までで終了、配当は2008年3月受取分までで終了。
この10%の軽減措置は、預貯金に偏った日本の個人金融資産を証券市場に誘導し、低迷する株価を
下支えするという目的で2003年に導入されました。
2003年当時、9000円を割り込んでいた日経平均株価が、現在16000円まで上昇したことから、
政府税調の見解では、
「10%の軽減措置は、役割が終わった」との意見が大多数を占めたそうです。
役割が終わったぁ?終わったとか終わらないとかの問題ではないだろう。
10%の軽減税率を一気に20%にまで引き上げたらどうなるか・・・?
・個人投資家はいったん利益確定売りに動き
・海外の機関投資家も、今後日本株への売り姿勢を強めていく
日本国内外のほとんどの証券アナリストがこのような見解を発表しています。
ようやく16000円代まで上昇してきた日本経済が、また逆戻りしていくことが予想されます。
そして
「貯蓄から投資へ」の流れを作ってきたのに、個人の投資意欲を減退させかねません。
かじさんの書いた小説「Welcome To My Life」(←結構面白いからみなさん読んでみて!)
この小説にあるようなことが、現実に起きてしまうかも?!とさえ思ってしまいます。
【将来的には金融一体課税の導入も検討】
政府税調は、
すべての金融商品の税率を20%に一本化することが前提だと位置づけています。
そのかわり、すべてが一体課税ですから、株で損したらほかの金融所得と損益通算できます。
事例)以前知り合いが商品先物で3000万円の損失、株で3000万円の利益が出ました。
普通に考えたら、
「株3000万円−商品3000万円=利益はゼロ」 ですが、損益通算できないので
その知り合いは、
「株3000万円×20%=600万円の税金」 を払わなくてはいけませんでした。
でも600万円も税金払うお金が無いので、
サラ金に手を出してその後自己破産しています。
投資の種類によって、損益通算できたりできなかったりと、そんな無意味に複雑な制度が、
自己破産者を出したり、日本人の投資意欲を減退させる要因なのです。
よく何も知らないド素人に限って、
「商品先物は危ない、やめたほうがいい」と言いますが、
「なぜ危ないか?」を彼らは理解していません。
理解してないから危ないのです。
このような、税金の仕組みや取引の仕組みなど、しっかり勉強していれば危なくないのに、
勉強を怠ったために、サラ金に手を出して自己破産ということにもなりえます。
↓勉強しましょう!
基本的に私は、
金融一体課税に対してはどちらかというと賛成寄りなのですが、これがエスカレートすると
金融一体課税→全所得総合課税 に発展しかねません。そうなると
金融所得も累進税率となりえます。
これでは日本からお金がどんどん逃げてしまいますから、当分こんなことはできるわけ無いと思いますが、
政府税調の
「10%の軽減措置は、役割が終わった」という何とも頓珍漢な発言を聞くと本気で心配します。
基本的に私は、金融一体課税に対しては、どちらかというと賛成寄りと言いましたが、
税率20%での一体課税はあまりにも高すぎます。せいぜい5〜10%程度にするとかの検討が必要でしょう。
それか米国のように、あるいは不動産のように、
保有期間に応じて税率を変えるのはどうでしょう。
例えば、保有期間が1年未満だと30%、1年超だと10%、5年超だと5%、10年超だと1%とか。
そうすれば、ウォーレンバフェットのような超長期の個人投資家も増えていくかもしれませんね。
日本経団連の御手洗富士夫会長も怒ってます!
「日本の個人資産のうち、資本市場に回っている割合が10%程度と、欧米と比べてまだまだ低い。
資本市場の活性化や個人の資産配分の観点から、軽減措置を延長するべきだ!」
御手洗富士夫会長が記者会見でこんなことをおっしゃっていました。まさにおっしゃるとおりです。
みなさんはどう思われますか?
Posted by causeway_bay at 16:04│
Comments(6)│
TrackBack(0)│
Edit