先日、
「株軽減税率(現行10%)を廃止の方向へ」という記事を書きましたが、
株式投資を優遇する証券税制の軽減税率が2007年度中に期限切れになるのにあわせて、
株価急落などの副作用を回避するために、政府が激変緩和策を検討しています。
→関連記事「株軽減税率(現行10%)を廃止の方向へ:金融一体課税を導入検討」
2007年末までに取得した株式を、2008年以降に売却する場合、
譲渡益の一部は10%の軽減税率の適用を続けるという、ちょっとまた複雑怪奇な制度です。
これは、個人投資家の駆け込み売却が膨らむのを防ぐのが狙いだそうですが、
ただでさえ複雑な証券税制をさらに一層複雑にしてしまうので、さてどうかなという感じです。
政府が検討中の案では、
2007年以前に取得して2008年以降に売却する株式については、
大きく分けて以下の3パターン(4パターン?)の課税方法に分かれます。
(ケース1)取得時から上がり続けた場合
(ケース2)取得から上がり、07年以降下がった場合
(ケース3)取得から下がり、07年以降上がった場合
(ケース4)取得から下がり続けた場合 →これは税金かからないので省きます(笑
2007年以前に取得して2008年以降に売却する株式については、上記4ケースに応じて
1) 取得時の価格と2007年末の価格を比較して高いほうの価格と、
2008年以降売却時の価格の差額(売却益)に対しては20%を課する。
2) 2008年以降売却時に、取得時の価格か2007年末の価格の、どちらかより
安い部分の売却益に対しては10%を課する。
この2点がポイントになります。
(解りやすく書いたつもりですが、さっぱり解りにくいですね。私も少し混乱してきました・笑)
文章ではなんとも解りにくいので、以下図を入れて説明します。↓↓
2007年以前に、株を100円で取得し、
2007年末で150円まで値上がりし、
2008年以降に200円で売却した。
売却益50円×税率10%=税金5円
売却益50円×税率20%=税金10円
→ 計15円の税金
2007年以前に、株を100円で取得し、
2007年末で200円まで値上がりし、
2008年以降に150円で売却した。
売却益50円×税率10%=税金5円
→ 計5円の税金
2007年以前に、株を100円で取得し、
2007年末で50円まで値下がりし、
2008年以降に150円で売却した。
売却益50円×税率20%=税金10円
→ 計10円の税金
どうです?解りましたか・・・?それにしても解りづらいですね〜。
ケース2も3も、結果的にはどちらも同じ「100円で取得して150円で売却した」というパターンです。
それなのに、それぞれの株価の動きによって、納めるべき税金が倍も違ってくるというわけです。
これまた何ともおかしな税制ですね〜。しかしまぁ、よくこんなことを思いつくもんです。
2007年末をまたいで、取得・売却をした株の譲渡益に対しては、
このような迷惑極まりない、複雑怪奇な計算方法が待ち受ける可能性があります。
(今の段階では決定ではなく、あくまでも検討段階だそうです)
がしかし、こんなものを導入すると税額の計算が非常に複雑になるため(あたりまえじゃ)、
金融機関が損益計算を代行してくれる
「特定口座」の取引だけを対象に導入する見通しです。
日本証券業協会の幹部は、
「制度が複雑すぎて投資家に説明しにくい」
との指摘もあり、よかれと思って設けた制度が悪影響を与えてしまうことも必至です。
とまぁ、こんな証券税制の議論が毎日繰り返される中で、
21日までの7日間で日経平均株価は550円あまり値下がりしてしまいました。
税率20%もそうだし、複雑さを増す証券税制もそうだし、どちらも資金が逃げる要因です。
あとちなみに、
2007年までに売却すれば10%、2008年以降に取得した株については20%です。
Posted by causeway_bay at 14:49│
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