香港資産運用奮闘記よいファンドを選ぼう! > よいファンドを選ぼう!その6 〜シャープレシオ〜
2006年12月07日

よいファンドを選ぼう!その6 〜シャープレシオ〜

モーニングスターなど多くの投信評価会社が採用している「シャープレシオ」
これは、リスクとリターンの両サイドからファンドを評価する指標です。
→関連記事「ファンドレイティングサイト「morningstar.co.uk」の使い方」

一見難しそうな言葉ですが、シャープレシオとは一言で簡単に言うと
「リスク1単位に対するリターン(運用実績)」というような指標です
(ちょっと言い方が乱暴?)

シャープレシオの数値が大きいほど、同じリスクを負担しながらも、高いリターンを残したことをあらわし、
まぁ言ってみれば「優れたファンド」というひとつの見方ができます。

このシャープレシオという指標は、米国の経済学者シャープ博士によってあみだされたもので、
世界でも一般的な投資信託の評価指標として広く使われています。

シャープレシオってどうやって計算されるの?

たとえば、以下のような二つのファンドがあるとしましょう。

ファンドAとBの比較






ファンドAもBもどちらも同じ15%という運用利回りの実績を残しています。しかしシャープレシオの観点で見ると、
ファンドAとBの間には、商品としては大きな差があるのです。これらのABファンドを、以下の公式に当てはめます。

シャープレシオの公式




公式の分子にあたる、超過リターンとは「リスクのある資産へ投資したことにより得られた収益から、
リスクのない資産(例えば預貯金など)へ投資した場合に得られる収益を除いたもの」のことを言います。

例えば、ファンドの収益率が15%で預貯金の金利が3%ならば、超過リターンは12%になります。

公式の分母にあたる、リスク(リターンの標準偏差)とは、収益性のバラツキを示す「リスク指標」です。
ファンドAもBも平均リターンは15%ですが、ファンドAのほうが価格の振れ幅が小さく平均リターンの上下5%、
ファンドBは価格振れ幅がAよりも少し大きく、平均リターンの上下10%という状況です。

で、上記の公式に当てはめてみると・・・、

ファンドA → (15-3)÷5= シャープレシオは「2.4」

ファンドB → (15-3)÷10= シャープレシオは「1.2」


これを見ると、ファンドAもBもどちらも同じ、15%という運用利回りの実績を残していますが、
ファンドAの方がリスクが小さく、シャープ・レシオから見ると、Aの方が優れているといえます。
シャープレシオの数字は、大きければ大きいほど優れているファンドという見方ができます。

上記ファンドABのシャープレシオをグラフで表現すると、以下のようになります。

ファンドAとBのシャープレシオ

















安定運用を求めるにはシャープレシオはできれば1.0倍以上のものが理想的ですが・・・、

低い数値だと、リスクをとっていてもそのリスクに見合ったリターンが得られない可能性があります。
例えば、シャープレシオ0.8倍というファンドは、「10のリスクを背負っているのに8しかリターンが無かった」
という理屈ですから、逆に言うと、リターンが低い割りにリスクが高いという見方になります。

でもシャープレシオ0.5とかのものでも、過去のリターンは凄まじくパフォーマンスの高いものもあり、
過去の運用成績の高いものになるほど、シャープレシオが低かったりします。これは価格の振れ幅(リスク)が
大きいものほど、高いリターンを得られる可能性が大きいということをあらわしています。

(もちろん、損する可能性も大きいです。)

例えば前述のファンドAとファンドB。シャープレシオの観点で考えると一般的には青のファンドAが優れている
という評価になるのですが、将来の可能性なども考慮したうえで、私は価格振れ幅の大きいBを好みます。

AもBも、現段階では同じ15%の利回りなのですが、Bの最大上昇幅・下落幅に魅力を感じます。

ファンドAとBの振れ幅



















この好みは人それぞれ、目標やライフスタイル、また抱えている扶養家族や負債額などによって変わると思いますが、
私は今のところ身軽なので(笑)、できるだけ高めのリスクをとって高めのリターンを追及することが可能です(笑)

要は、高いリスクをとってるからこそ高いリターンが期待できるというわけです。

新興国投資においてシャープレシオ1.0以上は、確かによっぽど優れたファンドと見ることができますが、
長期的に大爆発を期待するのであれば、シャープレシオにこだわるのは必要はありません。

設定後間もないファンドや、ある程度長期的な見通しが必要なファンドなどは、必ずしもシャープレシオの
数値があてになるとは限らないからです。


ベンチマークとの比較と同様に、過去の運用成績はあくまでも過去の結果であり、市場が今後
どのように動いていくのかを注視していく必要がある
からです。

シャープレシオやベンチマークなんかよりも、もっと大切なもの。それは、

「いま海の向こうで何が起こっているのか?それに対して世界はどう動いてるのか?」

常にその動きに目を向けて情報をとらえる情報収集力と、その本質をとらえる洞察力です。

スマイリーさんのブログ「オフショアな海外投資日記」でも、詳しく書かれていますので、
参考にされてみてください。記事本文もみなさんのコメントも、とっても参考になります。
→参考「オフショアな海外投資日記 > ハイリスク、ハイリターン」


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香港資産運用奮闘記よいファンドを選ぼう! > よいファンドを選ぼう!その6 〜シャープレシオ〜


Posted by causeway_bay at 17:38│Comments(9)
    この記事へのコメント
  1. kzさん。TB&ブログ紹介ありがとうございます。

    中国に赴任してからどうも熱く語るのが好きになってしまったようで
    水瀬さんの「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」、stareyesさんの「Perpetual Traveler(時由人)」、PALCOMさんの「PALCOMの海外投資塾」などのブログ内で、熱い書き込みを続けています。笑
    kzさんも参加しません?
    年末年始は毎年、上げ相場でついつい強気発言になりがちです。
    謙虚にいかなければ。。。

    あとそう言えばmorningstar.co.ukのトップページ変わってしまいましたね。
    Posted by スマイリー at 2006年12月07日 21:07
  2. スマイリーさん

    こんにちは。コメントありがとうございます!
    最近スマイリーさん、熱く語ってますね(笑
    熱いのはとてもいいことですよ!

    あちこちブログを見てると、みなさんシャープレシオを
    結構重要視してるように見受けられるのですが、
    私自身は、実はこの指標はそれほど重要視していません。

    あくまでも、参考にはしますけど、シャープレシオ0.4とかでも、
    自分で調べてみて、これは○年後絶対に面白そうだと思える
    セクターは、時期・価格を見計らってなるべく早めに投資します。

    スマイリーさんのポートフォリオは僕は好きですよ(笑
    でも多すぎますね(笑

    例えば僕だったら、
    ・Schroder Latin America (FPI)
    ・Templeton Latin America (FPI)
    ・MLIIF - Latin American (HSBC)
    ・HSBC GIF - BRIC Freestyle (HSBC)
    ・HSBC GIF - BRIC Freestyle (SCB)
    これらは、どれか1つかせいぜい2つにまとめたいところですね。^^
    Posted by kz@銅鑼湾 at 2006年12月08日 07:04
  3. kzさん。どうも!

    シャープレシオについては私自身も最近知った指標です。
    購入時には全く考えてもみませんでした。
    それに新規開設ファンドには有りませんしね。

    ポートフォリオについてお褒めいただきありがとうございます。
    公開している理由として、真似できるならものなら真似してみろという気持ちもあります。笑
    あとご指摘の通り、かなりダブった商品があることは事実です。
    HSBC GIF - BRIC Freestyleについては当初 FPIでも購入していました。汗
    当時よほど魅力を感じていたのですね。今冷静に考えると笑ってしまいます。
    今でも稼ぎ頭に代わりは有りませんが。新規販売中止になっていたの知っていました?
    SCB購入分はネットバンキングが出来ないのでほったらかしているの実情です。涙
    次回香港に行く際に検討します。SCBのHKDも同様。いけませんね。
    Posted by スマイリー at 2006年12月08日 13:20
  4. 続き

    Latin America系ですが、これもご指摘の通りです。
    FPIのSchroder とTempleton Latinは折を見て次なるセクターへスイッチングしようと思います。
    FPIはスイッチング手数料無料ですし。
    次なるセクターとはどこでしょう?自分でもわかりません。

    Emerging Europe系もダブっていますが、ロシア:東欧比率やトルコの有無などで
    微妙に違いますのでこれはそのままにしたいと思います。
    あと貴重なEUR資産なのでUSD下落局面で効果大です。

    日本と韓国もダブっています。今後検討の余地有りますね。
    日本については来年以降、激上げ必至(??)ですのでそれまで様子を見てみます。
    あとベトナム、南ア、中東関連が不足しています。
    これ以上金融機関を増やしたくないので、現状の範囲内でやりくりするつもりです。
    Posted by スマイリー at 2006年12月08日 13:20
  5. スマイリーさん

    コメントありがとうございます。
    シャープレシオ、とっても便利な指標なんですけどね、
    でも実際に購入に踏み切るとなると、無視しちゃってます(笑

    > HSBC GIF - BRIC Freestyleについては当初 FPIでも購入していました。汗
    > 当時よほど魅力を感じていたのですね。今冷静に考えると笑ってしまいます。

    当時、BRICsという言葉だけが先に一人歩きしてしまってて、
    日本ではまだ販売されてなかったですからね。その気持ち分かります。
    だから日本で販売されたとたん、初日に完売ですからね。
    (ひょっとして話題先行型の販売戦略か?!PS3みたいに。笑)

    ↓つづく
    Posted by kz@銅鑼湾 at 2006年12月08日 15:05
  6. ↓つづき

    > FPIはスイッチング手数料無料ですし。
    > 次なるセクターとはどこでしょう?自分でもわかりません。

    僕が最近注視しているのは、先日記事にも書きましたが、
    UAE・サウジ・カタールをはじめとした中東諸国の銀行・通信系、
    それと、カナダのランドバンキングですか。。。
    後者に関しては、株式投信系の多いスマイリーさんのポートフォリオの
    ヘッジとしても有効ですね。元本確保に近いニュアンスもあるし。

    でも、どちらもフレンズには無いですね。。。

    ↓つづく
    Posted by kz@銅鑼湾 at 2006年12月08日 15:05
  7. ↓つづき

    > あと貴重なEUR資産なのでUSD下落局面で効果大です。

    最近ユーロ熱いですね〜。僕は恥ずかしながらユーロ建て持ってません。
    高いなーと思って様子見してたら買い時を見失っちゃいました(笑

    > あとベトナム、南ア、中東関連が不足しています。
    > これ以上金融機関を増やしたくないので、現状の範囲内でやりくりするつもりです。

    それにしても、ベトナム、南ア、中東なども含めて、
    投資先がたくさんありすぎて、海外投資は面白いですね〜。
    かなり頭を使うので、今後歳をとったらボケ防止にもいいですね(笑
    Posted by kz@銅鑼湾 at 2006年12月08日 15:06
  8. オフショア生保 FPIに限らずスイッチングの弱点。
    一時的に現金化しないので、
    上げ相場時に高値で売っても、また高値で買わなければならない。
    これが歯がゆいところです。

    調子の良いセクターから将来性のある一時的に調子の悪いセクターへスイッチング。
    これはなかなか至難の業です。
    これができれば苦労しないのですけどね。

    >それにしても、ベトナム、南ア、中東なども含めて、
    >投資先がたくさんありすぎて、海外投資は面白いですね〜。

    そうなんです。それに国ごとや地域ごとにざっくりと投資できます。
    やれ業種が何やら、細かいPERやら、PBRやらいちいち調べなくても良いですからね。
    国や地域として勢いがある、将来期待できるという判断で大体投資できます。
    FXで24時間ハラハラドキドキするよりはかなり楽チンです。
    Posted by スマイリー at 2006年12月08日 19:58
  9. スマイリーさん

    そうそう、確かにスイッチングは難しいですよね。
    ほかのに乗り換えるのって絶妙のタイミングと投資先が必要ですが、
    それ以上に自分自身の勇気が必要ですもんね(笑)
    Posted by kz@銅鑼湾 at 2006年12月09日 15:14

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