モーニングスターなど多くの投信評価会社が採用している
「シャープレシオ」
これは、リスクとリターンの両サイドからファンドを評価する指標です。
→関連記事「ファンドレイティングサイト「morningstar.co.uk」の使い方」
一見難しそうな言葉ですが、シャープレシオとは一言で簡単に言うと
「リスク1単位に対するリターン(運用実績)」というような指標です
(ちょっと言い方が乱暴?)
シャープレシオの数値が大きいほど、同じリスクを負担しながらも、高いリターンを残したことをあらわし、
まぁ言ってみれば「優れたファンド」というひとつの見方ができます。
このシャープレシオという指標は、米国の経済学者シャープ博士によってあみだされたもので、
世界でも一般的な投資信託の評価指標として広く使われています。
シャープレシオってどうやって計算されるの?
たとえば、以下のような二つのファンドがあるとしましょう。
ファンドAもBもどちらも同じ15%という運用利回りの実績を残しています。しかしシャープレシオの観点で見ると、
ファンドAとBの間には、商品としては大きな差があるのです。これらのABファンドを、以下の公式に当てはめます。
公式の分子にあたる、超過リターンとは「リスクのある資産へ投資したことにより得られた収益から、
リスクのない資産(例えば預貯金など)へ投資した場合に得られる収益を除いたもの」のことを言います。
例えば、ファンドの収益率が15%で預貯金の金利が3%ならば、超過リターンは12%になります。
公式の分母にあたる、リスク(リターンの標準偏差)とは、収益性のバラツキを示す「リスク指標」です。
ファンドAもBも平均リターンは15%ですが、ファンドAのほうが価格の振れ幅が小さく平均リターンの上下5%、
ファンドBは価格振れ幅がAよりも少し大きく、平均リターンの上下10%という状況です。
で、上記の公式に当てはめてみると・・・、
ファンドA → (15-3)÷5= シャープレシオは「2.4」
ファンドB → (15-3)÷10= シャープレシオは「1.2」
これを見ると、ファンドAもBもどちらも同じ、15%という運用利回りの実績を残していますが、
ファンドAの方がリスクが小さく、シャープ・レシオから見ると、Aの方が優れているといえます。
シャープレシオの数字は、大きければ大きいほど優れているファンドという見方ができます。
上記ファンドABのシャープレシオをグラフで表現すると、以下のようになります。
安定運用を求めるにはシャープレシオはできれば1.0倍以上のものが理想的ですが・・・、
低い数値だと、リスクをとっていてもそのリスクに見合ったリターンが得られない可能性があります。
例えば、シャープレシオ0.8倍というファンドは、
「10のリスクを背負っているのに8しかリターンが無かった」
という理屈ですから、逆に言うと、
リターンが低い割りにリスクが高いという見方になります。
でもシャープレシオ0.5とかのものでも、過去のリターンは凄まじくパフォーマンスの高いものもあり、
過去の運用成績の高いものになるほど、シャープレシオが低かったりします。
これは価格の振れ幅(リスク)が
大きいものほど、高いリターンを得られる可能性が大きいということをあらわしています。
(もちろん、損する可能性も大きいです。)
例えば前述のファンドAとファンドB。
シャープレシオの観点で考えると一般的には青のファンドAが優れている
という評価になるのですが、将来の可能性なども考慮したうえで、私は価格振れ幅の大きいBを好みます。
AもBも、現段階では同じ15%の利回りなのですが、Bの最大上昇幅・下落幅に魅力を感じます。
この好みは人それぞれ、目標やライフスタイル、また抱えている扶養家族や負債額などによって変わると思いますが、
私は今のところ身軽なので(笑)、できるだけ高めのリスクをとって高めのリターンを追及することが可能です(笑)
要は、高いリスクをとってるからこそ高いリターンが期待できるというわけです。
新興国投資においてシャープレシオ1.0以上は、確かによっぽど優れたファンドと見ることができますが、
長期的に大爆発を期待するのであれば、シャープレシオにこだわるのは必要はありません。
設定後間もないファンドや、ある程度長期的な見通しが必要なファンドなどは、必ずしもシャープレシオの
数値があてになるとは限らないからです。
ベンチマークとの比較と同様に、
過去の運用成績はあくまでも過去の結果であり、市場が今後
どのように動いていくのかを注視していく必要があるからです。
シャープレシオやベンチマークなんかよりも、もっと大切なもの。それは、
「いま海の向こうで何が起こっているのか?それに対して世界はどう動いてるのか?」
常にその動きに目を向けて情報をとらえる情報収集力と、その本質をとらえる洞察力です。
スマイリーさんのブログ
「オフショアな海外投資日記」でも、詳しく書かれていますので、
参考にされてみてください。記事本文もみなさんのコメントも、とっても参考になります。
→参考「オフショアな海外投資日記 > ハイリスク、ハイリターン」
Posted by causeway_bay at 17:38│
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