まだまだ調査段階ですが、UAEの金融制度について簡単に書いてみたいと思います。
UAEは石油によるGDPを意図的に引き下げるために、
金融・貿易・観光・教育・メディア分野における
産業を国がバックアップして、それらの産業の競争力を高める政策を次々と打ち出しています。
→関連記事「投資先としてのGCC(Gulf Cooperation Council)諸国」
市内からシェイクザイード通りをジュメイラ方面に向かう途中では、
メディア経済特区というのもあります。
こちらの経済特区は
Dubai Media Cityと言い、
CNN、BCC、ロイター、AMEinfoなどの放送局が進出しています。
ここに関してはまた後日書きます。
ドバイ国際金融センター(DIFC)
金融分野では、
ドバイ国際金融センター(DIFC)という経済特区があり、ここに拠点を作る金融機関には
様々なインセンティブがあり、いま世界中の金融機関がこぞって進出しています。
→関連記事「UAE、カタール、バーレーンに相次ぎ国際金融センター建設」
DIFCは、
「外資100%可」「利益・配当送金の自由」「法人個人ともに50年間無税」
「外国人雇用の自由」などの相当高いインセンティブを有する金融フリーゾーンで、
この場所に参入を認める金融業務は、以下6分野です。
1.銀行業、
2.証券業、
3.資産運用業務(ファンド運営含む)、
4.保険・再保険
5.イスラム金融
6.これらに付随するバックオフィス業務
→関連記事「イスラムへの理解無しに海外投資は語れない? 〜イスラム金融のマネーが激流〜」
ドバイ国際金融センター(DIFC)は、
UAE中央銀行が管轄するUAEの国内金融とは境界線が引かれ、
在DIFC金融機関の現地通貨建ての資金調達は禁止されています。
参入金融機関の管轄は
DIFC金融監督庁(DFSA)が行い、2005年9月には、DIFC内に
国際証券取引所(DIFX)
が開設されています。2006年3月末現在、すでに162社が入居しているようです。
先日ドバイへ行ったとき、DIFCの隣に位置するAl Atta Towerの上層階からDIFCを眺めてきましたが(笑)
現在も大規模な拡張工事が続いており、入居企業はまだまだ増え続ける見込みです。
→関連記事「ドバイの石油開発会社THANI INVESTMENTS(タニインベストメント)を訪問しました」
為替について
現在のところ、
UAEの為替レートは米ドルペッグ制を採用しており、1980年以来、為替レートは
1米ドルあたり3.67UAEディルハムに固定されています。
UAEに限らず
GCC(湾岸協力会議)6カ国の為替すべてに関して、現在は米ドルに釘付けされていますが
GCC諸国は
2010年を目途に単一通貨を導入、
2015年を目途に変動相場制度へ移行する計画です。
→関連記事「湾岸6カ国単一通貨2010年導入、そして2015年変動相場制へ」
金融取引の規制
・貿易取引に関して
決済通貨、手段等の規制はありません。
・資本取引に関して
預金取引については、通貨、金額等の規制はありません。
株式取引については、UAEの株式市場では、
外国人の株式保有比率は49%に制限されています。
更に実態は多くの企業がこれよりも低く制限しており、
GCC諸国の国民のみに限定している企業も多数あります。
UAEでは空港や港のパスポートコントロールでも、
「UAE居住者用」ではなく「GCC居住者用」というゲートが用意
されており、
「GCCを国境を越えたひとつの経済圏」として協力する動きが所々に見受けられます。
→関連記事「投資先としてのGCC(Gulf Cooperation Council)諸国」
マネーロンダリング防止に関わる報告義務
UAEでも、マネーロンダリング防止のため、金融機関には種々の記録・報告義務があるようです。
利用者に関わるもののうち、金額の規定があるものは主に以下のとおりです。
・口座非保有者の入金と出金
口座非保有者が、
両替機関で2,000ディルハム相当額(約62,000円)以上、
銀行で4万ディルハム(約124万円)
相当額以上の現金による支払いを行う場合、所定の書類への署名および身分証明書の提示が必要です。
4万ディルハム相当額以上の現金またはトラベラーズチェックを受け取る場合も同様です。
・海外送金
両替機関で2,000ディルハム相当額(約62,000円)以上の海外送金を行う場合は、所定の書類への署名と、
身分証明書(パスポート)の提示が必要です。
4万ディルハム(約124万円)相当額以上の現金またはトラベラーズチェックを海外から持ち込む場合は、
UAE税関への申告が必要となります。
UAE国内の証券市場において4万ディルハム(約124万円)以上の取引を行う場合は、所定の書類への署名と、
身分証明書(パスポート)の提示が必要となります。
・・・以上のことを考えると、海外からの資金移動に関しては、香港よりも厳しい規制で管理されています。
なので今のところは、口座を開いてそこをハブにして国際分散投資をする上では、ドバイよりも香港に軍配です。
湾岸諸国への投資も、今のところは香港から投資をしたほうが色々と利便性が高いように思えます。
湾岸諸国と北アフリカへの投資をご検討されている方は
こちらをご参照ください。
→関連記事「投資先としてのGCC(Gulf Cooperation Council)諸国」
→関連記事「状況によってポートフォリオの中味はすっかり代わってしまうファンド」
Posted by causeway_bay at 11:50│
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